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対象スレッド 件名: Re: 兄と娘と恋人と
名前: タッキー
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Re: 兄と娘と恋人と
日時: 2014/07/09 01:33
名前: タッキー

ハヤッス!タッキーです。
今回はハヤテサイドです。しかし冒頭は別の人の話にしてあります。
それでは・・・
更新!





君と出会った時のことを、君と過ごした日々のことを今でも鮮明に覚えている。それこそ、君がいつ、どんな表状をしていて、何を話ていたかを全部言えるくらい、鮮明に・・・
ただ、君が目の前から消えてしまった日だけは覚えているというより、忘れられないと言った方が正しいんだと思う。その日、俺はどんな感情を抱いていたのだろう?悲しい?辛い?苦しい?多分、負の感情と呼ばれるものは全て持っていた。自分を憎み、蔑み、自分に対して怒りや殺意まで持った。それらは決して消えることはないが、時間によって無理やり押さえ込むことができた。
それからは必死で前を向いて生きてきた。自分なりの答えを見つけ、そして手に入れるために。一見、無駄だと思われることでも、いらないと思われることでさえも、そこに手に入れられる力があるなら全部自分のものにした。
君は今の俺を見たら心配するだろうか?それとも喜んでくれるだろうか?どちらにしても俺のやり方が間違っていると怒りはするだろう。まぁ、絶対に会うことはできないから、こんなことを考えていても仕方ないんだが・・・
さて、力は十分なほど身につけたし、準備も丁度よくハヤテがしてくれた。あとは時が来るのを待つだけ。でも誰一人として笑顔になれないこの方法はやっぱり間違っているのだろう。自分でも分かっている。いや、本当は何も分かっていない。正しい答えも、自分がどうしたいのかも。ただ、一つだけ分かっているのは・・・























俺はあの日からずっと・・・

前に進めていない。





  第18話  『stand still』





ハヤテは足早に歩きながらヒナギクとの思い出を数えていた。
小さい頃を除けば、初めて出逢ったのは一つの木の上と下という、なかなか奇妙な出逢い方だった。彼女に拾われて、そのまま家に泊まったり、彼女の誕生日にはクッキーをあげて、少しでも彼女の励ましとなればと、時計塔からの夜景を一緒に見たりした。映画を観る予定がグダグダになり、お詫びにと行った遊園地の帰りに聞いた言葉は長い間信じられず、G・Wにはミコノスで偶然一緒になり、その後のアテネでも大切なことを教えてくれた。アテネが小さくなって現れたときの爆弾発言に悪ノリして怒られてしまったことは反省している。それからもルカの同人誌を一緒に手伝ったり、心霊スポットに美味しいカレーを探しに行ったりなど、頭の中を探れば探るほど、たくさんの思い出が蘇ってくる。
それを消してしまうのは胸が張り裂けそうな程辛かったが、そうしないと自分の足枷になるのは分かっていた。ハヤテは一緒に湧いてくる様々な感情とともに、彼女との思い出を心の奥に押さえ込んだ。

「これでよかったんだ。これで・・・」

出した答えを忘れようとしている自分がいて、この決断に必死にあがいてる自分がいることにも気づいていたが、振り返った先に彼女がもういないことも分かっていた。
ハヤテは立ち止まって、しばらくボーッとした後、ヒナギクから渡された指輪を自分の指につけてみた。間違いなく以前アテネから渡された指輪だ。これを渡された時は運命的なものを感じて、このままでいたいと強く願ったが、舞い上がる想いは自分の決断をより辛いものにさせるだけで、無意識に口にしてしまった言葉は確実に彼女を傷つけてしまった。

「でも・・・」

あとほんの少しだけ、想っていたかった。

せっかく自分の気持ちを見つけのだ。大切に育んでいって、いつかはきちんと伝えたかったし、どんなに傷ついても、どんなに辛くても、彼女の傍にいたかった。でも記憶の中で笑っている彼女はもう抜け殻のようで、愛しく感じるはずの声も悲しく聞こえてしまう。自分が彼女に言えた「ありがとう」はどれくらいあっただろうか?何回彼女を笑顔にできただろうか?気づけば後悔し、心配し、戻りたいと思っていたハヤテは自分の目が潤んでいることに気づいた。




-私がハヤテ君の隣にいるから・・・

だから・・・泣かないで-



「そうだよ。泣くなって言われたじゃないか・・・

泣いたって・・・何も戻ってこないじゃないか・・・」

何度言い聞かせてもハヤテの心は理解しようとしなかった。少しだけと思ってつけた指輪はヒナギクとの未来の姿を鮮明に想像させ、その描いた二人が痛い程に彼の決意を邪魔してくる。二人はどこかで遊んでいるわけでも、何か特別なことをしているわけでもなかったが、楽しそうで、嬉しそうで、彼らの笑顔が絶えることはなかった。その笑顔が今のハヤテには眩しすぎて、羨ましすぎて・・・そして、何より手に入れたかった。

「こんなんじゃ、進めないですよ・・・ヒナギクさん・・・」

涙を堪えていたはずのハヤテの下の地面には、ポツポツと淡いにじみが増えていった。













どうも、
今回はなんか短かったですね。本文は冒頭よりもちょっと長いくらいなんですが、書くのにかかった時間は冒頭の二倍以上だったりします。
さて、今回はまたしても井口裕香さんから「stand still」を使わせて頂きました。これは別のアニメの挿入歌なんですが、もしハヤテとアーたんの過去編のアニメがあったのならそのEDに使ってもいいんじゃないかってくらい歌詞がぴったりです。もちろん個人的な見解ですが。とてもいい曲ですのでぜひ聞いてみてください。
冒頭の部分はこれからの話に大きく関わってきます。ハヤヒナ要素どころかハヤテ要素も低くなってしまいますが、それでもやりたい話なので。温かい目で見守ってくださるとありがたいです。
次回はやっとオリキャラ二人目が出ます。本当にやっとです。
それでは  ハヤヤー!!