Re: 兄と娘と恋人と |
- 日時: 2014/06/23 01:21
- 名前: タッキー
- ハヤッス!タッキーです。
41巻買ったぜー!OVA買ったぜー!ハヤテがちょっと怖かったぜー! まだ買ってない方、ぜひ買ってね! ということで今回はデート編その2 そしてついに・・・ ということで更新!
今、ハヤテはヒナギクとの待ち合わせ場所に向かっている。
「ちょっと早すぎたかな。」
現在の時刻は8時50分。この調子だと約束の1時間前には着きそうな感じである。何故こんなに早いかというと、凄く楽しみにしていた・・・のも当然あるのだが、1番の理由はナギがものすごく不機嫌で、朝起こしに行ったらいきなり枕が何個も飛んできたり、やっとのことで起こして朝食を食べさせた後も、早くヒナギクのところに行けばいい、とすぐに自分の部屋に引きこもってしまったからである。マリアに助けを求めても、いつものことですから、とスルーされてしまった。
「それにしてもヒナギクさんと二人で買い物か〜。まるでデートみたいだな・・・」
ピタッ
ハヤテは急に止まると自分の言った意味を理解し、顔を赤くさせる。
「い、いやそんなことある訳ないじゃないですか!だってほら!ヒナギクさんは僕をそういう対象として見てくれてませんし、そりゃヒナギクさんが僕の事を好きだったら凄く嬉しいけど・・・」
「誰に言い訳していますの?」
「うわぁあああ!!!ってアーたん?こんなところでどうしたの?それにその姿・・・たしか月1回が限界じゃなかったっけ?」
そう、ハヤテの暴走を止めたのはアテネだ。しかしそれは小さいアリスではなく、大きい方の天王州アテネだった。
「神様が助けてくれたの。」
そう言って、アテネはハヤテの問にあまり答えてはくれなかった。その代わりにハヤテは逆にある質問をされた。アテネがハヤテに送ったあの指輪のことについてだ。
「小さい私があなたにあげた指輪、まだもってます?」
「へ?それなら当然、いつも肌身離さず持ってるよ。これがどうしたの?」
アテネはいつも持ってると言って、すぐに指輪を取り出したハヤテに自分がとても大切にされている事を感じた。 しかしそれを確認しに来たのではない。今は彼の背中を押すために来たのだ。
自分の想い人が幸せになれるように
その為にある人に無理も言った。
こんなに頑張っているのだ。思いっきり抱きしめて欲しかった。
また自分が彼の隣に立ちたかった。
しかしもう彼の一番は自分でないということは分かっていたから・・・
「その指輪は私に返さなくていいですわ。 あなたの・・・ハヤテの大切な人に贈りなさい。」
アテネはしっかりハヤテを見て、自分が今、彼に伝えないといけないことを言った。これは決して伝えたいことではなかった。
「それじゃ、用件はこれだけですから。ヒナとのデート、楽しんできてください。」
アテネはまだ意味を理解していなさそうなハヤテに背を向け、そのまま帰って行った。 取り残されたハヤテはしばらく考えこんでいたが、約束があることに気づき、時計を見てみると・・・
「9時・・・50分?って遅刻寸前じゃん!!!」
自分が相当考えていたことに気づき、ダッシュで待ち合わせ場所に向かった。
「フフ、全くハヤテは。女の子を怒らせたり、笑わせたり、泣かせたり・・・本当に罪な人ですわね。」
アテネは慌てて走っていくハヤテを見て微笑んでいた。後悔や悔しさもあったが、その笑顔には何より、何かをやり遂げたという清々しさがあった。
「もう・・・泣きませんわよ。」
そう言うとすぐにいつものちっちゃいアリスに戻って、アパートに帰ろうとした。が・・・
「道が・・・分かりませんわね・・・」
そう、アテネは今回連れてきてもらったのだ。なのでここがどこなのかさっぱりわからなかった。そして連れてきた本人はというと・・・
「ははは、なんか締まらねーな。また連れていけって事なんだろ?」
そこにいた。アテネは帰ったと思っていたのだが、そうではなく一部始終を見ていたらしい。アテネは本当に仕方なくと言って顔で言われた通り、彼に連れていってもらうことにした。
「なんだか腑に落ちませんが、よろしくお願いしますわ・・・岳さん。」
「おう。」
岳はニコっと微笑んだ。
第12話 『善き少女のためのパヴァーヌ』
ヒナギクは今、ハヤテを待っている。腕時計を見てみると9時57分。待ち合わせの時間まで5分を切っている。先にハヤテが来て待ってくれていることを期待していた為、なんだか少し残念な気分だった。
「やっぱり私との約束なんて、大したことじゃないのかな・・・ 誕生日の日だって約束、忘れられてたみたいだし・・・」
ハヤテが来ないことで俯き、思考がマイナスな方向に進んでいたが、こんなんじゃいけないと顔を上げたら、目の前に待っていた彼の心配したような表状があった。ヒナギクはハヤテが突然現れたことに驚いて、軽く悲鳴を上げてしまった。
「す、すいません!ここに着いたら何だかヒナギクさんの元気がないようでしたので、つい・・・」
「べ、別にいいわよ!ちょっと考え事してただけだし、心配してくれてありがと。それじゃもう時間だし、行きましょ。」
ヒナギクは最初は顔を赤くさせて、どこか慌てている様子だったが、すぐにいつものペースを取り戻し、ハヤテと一緒に買い物に出かけた。まぁそれでもハヤテとデートをするということで十分顔を赤らめていたのだが・・・
ハヤテたち当初の予定通り、雪路の誕生日プレゼントを買うことにした。
「桂先生が喜ぶものといえば・・・お金と酒・・・ですね。」
「だからそれ以外だって言ってるでしょ?」
そう言われても、ハヤテにはお金と酒以外あの雪路が喜びそうな物が思い浮かばなかった。実際のところハヤテは、雪路には基本迷惑をかけられてばかりなので、それなりに高いヤツでいいんじゃないかと思っていた。 しかし真剣に選んでいるヒナギクを見てその考えは直ぐに消え去った。
(そうだよな。ヒナギクさんもこんなに一生懸命なんだ。だったら僕もちゃんとしたプレゼントを送らなきゃ。)
しかしやはり雪路へのプレゼントは物じゃ難しかった。彼女は意外と服類などは持っているし、かと言って彼女が好む貴金属などはとてもじゃないが少し高すぎたからだ。
「やっぱり手作りのケーキとかにしませんか?普段お酒ばっかであまり食べてなさそうですし、何より気持ちも込めやすいですし・・・ 二人で作りませんか?」
「そ、そうね。お姉ちゃん甘い物好きだし、それでいいと思うわ。」
ヒナギクは二人でという言葉に顔を赤らめながらハヤテの意見に賛同した。その後いろいろと話し合った結果、ケーキは喫茶どんぐりで帰る前に作ることになり、それまでは普通に買い物を楽しむことにした。しかしヒナギクが早速洋服店に入ろうとした時・・・
くぎゅううううぅぅぅ
「はは、それじゃぁもうお昼ですし、さきに何か食べましょうか。ヒナギクさんは何食べます?」
「ハ、ハンバーグ・・・///」
ヒナギクはハヤテにお腹の音を聞かれた恥ずかしさから俯いてしまい、小さい声でしか答えられなかった。しかしそれをきちんと聞き取ったハヤテは、ヒナギクを近くのファミレスまで案内した。
「それにしても、ヒナギクさんって意外と食いしん坊ですよね。」
「ハヤテ君、殴るわよ?」
ヒナギクの殺気にすいません、と慌てるハヤテ。しかしよく思考が回っていないときほど彼はとんでもない事を言い出す生き物である。
「た、ただヒナギクさんと結婚したら楽しいけれど大変な毎日になるだろうなぁ〜と。」
「へ?・・・///」
「あ・・・///」
さすがのハヤテもこれが爆弾発言だとは気づき、二人は一緒にこれ以上ない程顔を真っ赤にしていた。
「すみません、コーヒーください。ブラックで。」
ハヤテたちの座っている席は完全に桃色空間に突入しており、アテネを送った後、二人を尾行して同じファミレスに入った岳は少しだけ後悔していた。
(たしかに応援してるんだけど、あそこまでイチャつかれると・・・。 なんか声もかけずらいし、今日はここら辺にしとくか。)
岳はブラックコーヒーを飲み干すとハヤテたちに気づかれないように、と言っても今の二人には気づく余裕など無さそうだったが、とにかく精算をすませ、そこから逃げるように立ち去った。
(結婚・・・か・・・)
ヒナギクは先程ハヤテに言われたことの意味を考えていた。
(そういえば、夏休みの同人誌対決でルカが勝ってたら、ハヤテ君とルカは結婚してたのよね・・・)
そんな事を考えていると、ある疑問が浮かんだ。
「ねぇハヤテ君。ハヤテ君は何でルカの告白断ったの?」
「へ?」
さっきまでの桃色空間は完全に消え、ハヤテも突然の質問に驚いた。なぜ今更そんな事を聞くのか分からなかった。
「ですから、僕には借金がありますし、それにお嬢様の執事だから、そんな身で誰かと付き合うなんてことは・・・」
「後悔・・・してないの?」
ハヤテはその質問に、まるで自分の心を見透かされているように感じた。
「あれだけ可愛い子にあれだけ迫られたんだから、好きになったりしたんじゃないの?」
ハヤテは複雑な気持ちだった。ルカに告白された時は正直嬉しかったし、ルカと結婚してもいいじゃないかと考えたこともあった。そう思っていたことも含めて、ハヤテは自分なり出した答えをヒナギクに伝えた。それが正しいのか未だ分かっていない答えを・・・
「確かに少し後悔しました。もしかしたら好きになっていたのかもしれません。でも多分それは彼女に惹かれたというより、ときめいたという方が正しいのだと思います。 彼女の積極さに・・・ 彼女の僕のことを強く想う気持ちに・・・ だから学んだんです。誰かの気持ちに答えることと、誰かに真剣に恋をすることの大切さを・・・」
ヒナギクはハヤテの話を黙って聞いていた。もしかしたらハヤテはルカの事が好きなんじゃないか、そうでなくともアテネのことがある。どうしても不安は消えなかった。しかし彼の話を聞くとまだチャンスはあると実感できた。気づくとヒナギクはとんでもない質問をしていた。
「だったらハヤテ君。今から私がルカみたいに迫ったら・・・ ハヤテ君は私を好きになってくれる?」
「へ?///い、いきなり何を言い出すんですか!!!///」
ヒナギクも自分の言ったことの意味に気づいて、必死に取り消そうとしている。
「ご、ごめん!///今のは冗談!そう冗談なのよ!///ちょっとハヤテ君をからかっただけよ!!!///」
「そ、そうですよね!///ヒナギクさんが僕のことを好きだなんてことあるわけないですもんね!///」
「・・・」
少しはもしかしたらとか思わないんだろうか、ハヤテは完全にヒナギクの冗談という言葉を信じきっている。ヒナギクはいかにもやってしまった、という表状をしていて、彼の鈍感さと自分の素直じゃなさに呆れて声も出せないようだった。
「も、もう食べ終わりましたし、そろそろ買い物行きませんか?」
「そ、そうね。そうしましょう。」
二人はこの気まずい空間から抜け出す為、取り敢えず買い物のつづきをすることにした。
「ところでヒナギクさんは何が欲しいんですか?」
「う〜ん、やっぱり服とかかしら?これからまた冷え込むだろうし、コートとか買おうと思ってるけど・・・」
今の二人にはさっきまでのような気まずい雰囲気はなく、普通に買い物を楽しんでいる。どうやらヒナギクは、こんな風にショッピングに来ることは久しぶりらしい。女の子らしくあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしていて、ハヤテはついて行くのが大変だったが、ヒナギクが楽しそうに微笑んでいるのを見ると、まるで世界も微笑んでいるような気がするくらいハヤテも楽しく、嬉しい気分になれた。
「ごめんね、ハヤテ君。 なんかはしゃぎすぎちゃって・・・大丈夫?」
「え、えぇ。こ・・・おっと。 こ、これくらい余裕ですよ。余裕。」
ハヤテは今、自分の頭の高さあたりまで積み重なった荷物をもっている。本人は大丈夫と言っているが、心なしか顔が引きつっているし、荷物の方は今にも倒壊しそうだ。それでもまだまだ余裕と言い張るハヤテにヒナギクは少し意地悪をしてみたくなった。
「じゃ、次行きましょ。ハヤテ君。」
「え?ってうわぁああ!そんな引っ張らないでくださいよ、ヒナギクさん!」
ヒナギクはハヤテの袖を引いて歩き出した。ハヤテは急に引っ張られたことでバランスを崩したが、直ぐに大勢を立て直し、必死に彼女を追った。
「待ってくださいよ、ヒナギクさ〜ん。」
「だ〜め。待ってあげない。」
そう言って、笑顔で駆け出すヒナギクに、ハヤテの全てが見とれていた。
(そういえば、前に遊園地に来たときもこんな感じだったなぁ。あの時は帰りの電車賃がなくて怒られたっけ。そして、その後ヒナギクさんは・・・)
-好きな人とじゃなきゃ観に来ないわよ-
そう、実はハヤテには、ヒナギクの言葉が聞こえていたのだ。しかし聞こえた内容が信じられない事だったのと、電車の音が響いていたことで聞き間違いだろうと思い込んでいた。
(もし、そうじゃなくてあの言葉が本当だったら?いや、でもあのヒナギクさんだぞ。ヒナギクさんが僕のことを好きになるわけ・・・)
-ハヤテ君と一緒だから・・・より・・・楽しいわよ-
あの時は、ただ自分が上手くエスコート出来たからだと思っていた。
-普段から私にもそれくらい優しくしてくれればいいのに-
-ハヤテ君はいつも・・・ナギのことばっかり・・・-
この時は単に風邪で寂しがっているだけだと思っていた。
-月が綺麗ですね-
この言葉の意味は知っていたが、信じられなかった。
ハヤテの記憶にある、様々なもしかしたらが彼の頭を回って、最後にさっきの彼女の言葉がフラッシュバックした。
-ハヤテ君は私を好きになってくれる?-
(もしかして・・・ヒナギクさんは僕のことが・・・好き?でも仮にそうだとしたら僕は?僕の・・・気持ちは?)
ハヤテはふと目の前で自分の袖を引っ張りながら歩いているヒナギクを見た。
今みたいに彼女が楽しそうにしていると自分も楽しくなった
彼女が困った顔をすると意地悪をしてみたくなったけど、それ以上に助けてあげたくなった
悲しそうな顔をすると自分も悲しくなり、嬉しそうにすると自然に笑みがこぼれた
ハヤテは自分がヒナギクからナギと同じぐらいいろいろなものをもらっていることに気づいた。それらにははっきりとした形がなかった。後悔や悲しみ、怒りや嫉妬、楽しさと嬉しさ、元気に優しさ、そして笑顔と涙。 ハヤテは同時に何故かアテネから言われたことを思い出していた。
-あなたにとって一番大切で守りたい人は誰?-
-その指輪は私に返さなくていいですわ-
-あなたの・・・ハヤテの大切な人に贈りなさい-
(僕の一番大切な人・・・一番守りたい人・・・ お嬢様のことは勿論守りたい、アーたんやルカさん、西沢さんやマリアさん、そのほかの人たちだって当然大切だ。でも・・・)
-ハヤテ君の隣にずっといるから-
-だから・・・そんなに泣かないで-
(ヒナギクさんは皆さんとは違う・・・もっと、特別な・・・)
-私が手をかしてあげるから-
-絶っっ対に笑いなさいよね-
浮かんできた、いや脳裏に焼きついて思い浮かぶ必要すらなかった。 自分に手を差し伸べて微笑んでいる彼女の姿が、何よりも大切な人を・・・ 何より守りたい人を・・・ そして何より素晴らしい気持ちを・・・ ハヤテに教えてくれた。
ポツ、ポツッ
「あぁ〜、雨降ってきちゃった。どうする、ハヤテ君?」
急な天気の変化に困ったような顔をするヒナギク、しかし自分の気持ちに気づいたハヤテにはそれすらも愛おしく感じた。しかし雨はだんだん強くなり、まるでこの想いが届くのを邪魔しているようだった。
「運命と呼ぶには・・・まだ、早いかな。」
「ん?なぁに、ハヤテ君?」
「何でもありませんよ。さぁ、雨宿りできる場所を探しましょう。」
まだ、どう彼女に触れていいかも分からないし、抱きしめ方もしらないけれど・・・
「うん。」
彼女の笑顔を作っているのが自分であること。もしかしたらそれは勘違いかもしれないけれど、でも今は自分がその笑顔を作っている。その事実がどんなことよりも幸せに感じた。
どうも、いかがだったでしょうか? ついに、ハヤテが自分の気持ち、そしてヒナギクの自分に対する気持ちに気づきました。気持ちに気づかせるパターンとして多い(と自分はおもってます)「そうか・・・僕は・・・」もいいかなぁと考えていたんですが、やはりあえて・・・みたいな。すみません、自分ひねくれものなんで。 さて、今回はアルバム『福音』から、ルカの『善き少女のためのパヴァーヌ』を使わせて頂きました。いやぁ〜いいですよね、これ。自分はルカの曲だけどヒナさんっぽい曲だなぁと感じています。これからまた新曲とか出して欲しいですね。 ちなみに次回はハヤテ以外の曲を使おうと思っています。これは自分の趣味なので知らない方がたくさんいると思いますが、どうぞよろしくお願いします。ちなみに歌手はハヤテでいうツグミ・ルリ役の井口裕香さんです。 次回でデート編も終了。しかしあの人たちが出てきてシリアスな雰囲気に突入します。 それでは ハヤヤー!!
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