Re: 兄と娘と恋人と |
- 日時: 2014/06/17 23:55
- 名前: タッキー
- ハヤッス!タッキーです。
ただ今耳の中が、ヒナ祭り祭りです! 今ならどんなことも出来る気がします!!! ということで今回からデート編です! それでは・・・ 更新!
11月9日、白皇学院は休みになっている。なんでも学校行事で疲れた生徒や先生のためにあるのだとか。文化祭などが一通り終わってから二週間ぐらい空いているため、あまり意味は無いように思われるが、とにかく休みなのである。 そしてこの日はヒナギクが雪路の誕生日プレゼント選びと称して、ハヤテにデートの約束をとりつけた日である。彼女は今、服を何着も取り出し鏡の前でそれらを着まわしている。ハヤテの反応を勝手に想像して、嬉しそうにしたり、怒ったような顔をしたり、いわゆる百面相を浮かべいる。
「楽しそうですわね。」
「っ!!!アリス!起きてたの!?」
アリスことアテネは、大きいアテネの時も小さいアリスの時も朝に弱く、いつも起きてくるのは10時ぐらいなのでヒナギクはこんな時間に起きてくるとは思っていなかったので、凄く驚いている。ちなみに今は朝の六時半で、約束の時間は10時である。
「あれだけ隣で、嬉しそうな声を聞かされていれば誰でも起きますわよ。ウフフ、だとかハハハ、だとか。」
「そ、そんなに笑ってないわよ!」
「顔がニヤけてますわよ。」
アテネの指摘にヒナギクは顔を隠したが、赤くなっているのまでは隠せてなかった。 ヒナギクはアテネから散々からかわれた後、彼女にアドバイスをもらって、結局前ハヤテと映画や遊園地に行った時に着ていたものにした。しかしそれでも、何か変じゃないか、と聞いてくるヒナギクはまさに恋する乙女だ。 すると玄関の方から聞きなれた声がした。
「ごめんくださーい」
「え?お姉ちゃん?」
ヒナギクが玄関に行くとやはり、実の姉である雪路が立っていた。
第11話 『I miss You』
「どうしたのよ、こんな時間に?ていうかこのアパートの場所知ってたんだ。」
「まぁいいじゃない。それよりヒナの部屋は何処よ?」
確かにどこかを訪ねるには早すぎる時間だったし、雪路は今までアパートには来たことがなかった。が、これを軽く流すと雪路はヒナギクの部屋を聞いてきた。何か話があるらしい。部屋に戻るとアテネはもうおらず、ヒナギクと雪路は二人きりだった。
「で、話って何?お姉ちゃん。」
「いやぁ〜、岳君から聞いたんだけど、あんた綾崎君のこと好きなんだって?」
「ガウ君ったら、何でお姉ちゃんに教えてるのよ!!!」
「やっぱり本当なんだ。」
ヒナギクは正直、この状態をピンチと感じていた。雪路だったらこの事実を使って借金をチャラにしろ、とか、お金貸して、だとか言い出しかねない。ヒナギクは思わず身構えたが、彼女の姉の口から出た言葉は予想したものと全く逆のものだった。
「頑張ってね。」
「え?」
雪路の応援に戸惑うヒナギク。そんな彼女を見て雪路は嬉しそうに微笑んでいた。
「別にこれをネタにしてお金をせびろうなんて思ってないから。それに姉として妹の恋を応援するのは当然でしょ?」
「お姉ちゃん・・・」
すると雪路は立ち上がり、ヒナギクの手をとって、その手に何かをのせた。
「だから・・・これをあげる。」
それは楕円形の宝石がはめ込んである綺麗な指輪だった。ヒナギクはそれをいろいろな角度から眺めている。彼女にはこれを買えるだけのお金を雪路が持っているとは到底思えなかった。
「どうしたの?これ・・・」
「白皇の教師になったあたりにね、実はまたギター買おうかなって思ってたのよ。そしてホビーショップでギターを買おうとしたら意外と高くてね。諦めようかしてたらそのギターの下にあったこの指輪が目に入ったの。こんなに綺麗なのに500円だったからつい勢いで買っちゃた。まぁ、まさかこんな形で使うとは思ってなかったけど・・・」
「どうして・・・」
ヒナギクは分からなかった。雪路が何故ここまで応援してくれるのかも、年齢的に言えば彼女の方が必要なはずの指輪をくれるのかも・・・ だが、迷っている妹の問いに対する姉の答えはたった一言。
「妹だから・・・」
そう言うと雪路はヒナギクの頭を撫で回した。
「あんたが私の妹で、そして私があんたの姉だから。 さっきも言ったけど、姉が妹の幸せを願うことは当然のことでしょ?だから今日のデートで綾崎君を口説いて、その指輪をあげちゃいなさい。 ヒナならきっとできるわ。 だってあんたは私の自慢の妹だもの。」
「お姉ちゃん・・・」
気づけば9時をまわっていた。約束の10時には少し早いと思われるが、あのハヤテのことを考えたら丁度いい時間かもしれない。雪路はヒナギクにもう行くように促し、自分も帰る用意を始めた。
「うん!」
ヒナギクは満面の笑みで返事をし、最後に鏡を見て髪を整えたあと、雪路の誕生日プレゼントをねだる声を背に駆け出していった。
「本当は結構前から気づいてたんだけどね・・・」
あんなに嬉しそうにしている妹を初めて見た
あんなに幸せそうに笑う妹を初めて見た。
彼女が恋をしていることなど直ぐに分かった。
彼女の姉として彼女の居場所を守り続けていたが、その役目はもう終わっていたようだ。
だから、これからは見守ることにした。彼の隣で幸せになっている彼女を。
指輪をあげたのには、あまり深い意味はなかった。 ただ、彼女の名前の花言葉に、勇気の二文字を付け足したかった。
彼女に、もう彼でしかダメになっていることに気づいて欲しかった。
そして、ヒナギクの花が一番綺麗に咲くことを、どんなことよりも願っていた。
「頑張りなさいよ、ヒナ・・・」
「うん!」
何かを聞かれたわけでもないし、そばに誰かいたわけでもないが、ヒナギクは何故か力強い返事をしていた。 今日はなんだか少し素直になれそうな気がする。ポケットに入った指輪の感触が彼女にそう直感させていた。 しかし、彼女がそう思えるのにはあと一つ理由があった。
「ハヤテ君ならいい、じゃなくて、ハヤテ君じゃなきゃダメ。だって・・・
私はハヤテ君のことが大好きなんだから!」
風が、その言葉を大好きな彼のもとへ運んでくれている気がした。
どうも、タッキーです。 デートは始まりませんでしたが、一応デート編です。 指輪のことを一応説明しておくとアテネがハヤテにやったアレです。雪路がそれを入手した経緯は23巻の扉絵から引っ張らせていただきました。 そして今回は久しぶりのちょっぴり歌詞ネタ。ヒナギクさんの「I miss You」を使わせて頂きました。ここからは多分このやり方が多くなると思います。ちなみにまだハヤテの曲しか使ってませんが、それ以外の曲も使う予定です。できるだけ雰囲気がでるように頑張ります。 次回からはデートが始まります。 それでは ハヤヤー!!
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