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対象スレッド 件名: Re: 兄と娘と恋人と
名前: タッキー
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Re: 兄と娘と恋人と
日時: 2014/06/16 23:49
名前: タッキー

ハヤッス!タッキーです。
書き溜めてたのに何故か再起動して消えてしまいました。orz
しかしこれは逆転への布石・・・じゃないですね。
それでは5日ぶりに・・・
更新!





(どうしてこうなった・・・)

今、ナギは秋葉にきている。このお嬢様が一人で外出などできるはずもなく、当然誰かついてきたのだが、それは執事のハヤテでも、友達の千桜やカユラでもなく、噂の転入生の岳であった。

「へ〜、ナギちゃんってそういうの好きなんだ。」

「その言い方少しグサッとくるんでやめてくれません?」

岳の意地悪な言葉にナギは苦虫を噛み潰したような顔をする。オタクである彼女にとって、こういう無邪気な発言は結構なダメージがある。もっとも、岳はそれを分かっていて、あえてイジっていたのだが。

「ごめん、ごめん。で、今から行く店って、ナギちゃんの知り合いが経営してるんだっけ?」

「そうなのだ。最近、軌道に乗ってるっぽいから少しからかってやろうと思って。」

岳は、相当頑張ってるんだろうなぁ、と思いながら歩くこと数分、目的の店の前に着いた。

コミックVタチバナ

これがその店の名前だ。

「こういうところ久しぶりだから楽しみだな〜」

そう言いながら自動ドアをくぐる彼のポケットから何か桃色の布がはみ出ているのをナギは偶然見つけた。





  第10話  『汚れたハンカチ』





秋葉に向かう前、ナギは普通に学校にいた。ハヤテたちは昨日の夜、お屋敷の方に戻っていて、ナギは今朝、そのことを理由にして学校をサボろうとしていたが、マリアの介入があったことで、しぶしぶ登校してつまらなさそうに授業を受けていた。
休み時間、ハヤテはナギの機嫌を取ろうと、興味を持ちそうな秋葉の話をしたが、それがいけなかった。

「そういえば、今日は新刊の発売日らしいですよ。ワタル君もそれに合わせていろいろ入荷すると言ってましたし、放課後にでも行ってみませんか。」

「じゃ、今から行くぞ。ハヤテ」

「いやいや、だから放課後にって・・・」

「そうだ、秋葉行こう。」

「何で言い直したんですか!?てか、授業は?お嬢様この前の金曜日も途中からサボったじゃないですか。」

今から行くというナギに当然反対するハヤテ。クラスメートはまたか、と隅のほうでハヤテを応援していた。

「うるさい!行くといったら行くのだ!お前がついてこなくても一人で行ってやる!」

「でも、ナギ。あなた、秋葉への行き方分かるの?」

「うっ・・・」

一番ツッコまれたくないことを、一番ツッコまれたくない相手に言われたナギは先程までの勢いがなくなってしまった。そして自分がいつも迷子になることを棚に上げてツッコんできた本人、鷺ノ宮伊澄はそんなナギに次の言葉をかけようとする。

「なんなら私が連れて「うわぁあああ!!!それはいいです!また迷子になっちゃいますから!今度は沖縄とかまで行っちゃいますから!!!」

危険を察したハヤテはすぐさま伊澄の提案を遮る。ナギも迷子になるのはごめんなので、どこかほっとしたような表状をしていた。

「なら俺がついて行こうか?このまま素直に授業を受ける気もないっぽいし、ハヤテの方も成績とかあるだろうから。」

「「え?」」

こうして結局ナギは岳と一緒に秋葉へ来ることになったのである。



「いらっしゃいませ〜ってナギお嬢様?とそちらの方は?」

店に入るとメイド姿のサキがナギたちを迎えた。もっとも基本この店の制服はメイド服なのだが・・・

「初めまして。最近、白皇に転入してきた初神 岳です。ナギちゃんたちとは親しくさせてもらってます。よろしくお願いしますね。」

「こ・・・こちらこそ///」

初めて会った岳は丁寧に自己紹介をしていたが、ナギは挨拶もそこそこにレジでなにやら集計をしているワタルのところに向かった。ワタルは平日の真っ昼間から来たナギたちに呆れている。

「お前、学校はどうしたんだよ?今日は一応平日だぞ?」

「そんなもの知らん!それよりちゃんと島本作品は入荷したんだろうな?」

「ちゃんとしてるっつーの。前、お前らに散々言われたからな。ったく毎回毎回ヒトの店にケチつけやがって・・・」

ナギとワタルがいつもの半分喧嘩のようなやり取りをしている時、岳は店内の商品を見て回っていた。岳には血縁関係のある者が全くいないので、生活費を稼ぐ為、バイトは勿論、株なども使っている。なので市場の動きには敏感であり、こういう同人誌ショップでも、しっかりと売れ行きを調査する癖がついていた。
もっとも、彼の眼力はナギの祖父である三千院帝を軽く凌いでいて、一生遊べるくらいの金を稼ぐことなど朝飯前だったが・・・
しかし、今回はそういう調査というより、頑張っているみたいなのでアドバイスでもしてやろう、という親切心からこの店の状況を調べていたりする。

「え〜と、ワタル君だっけ?ちょっといいかな?」


「あ、はい」

ワタルは急に名前を呼ばれても上手く動揺を隠し、店長らしく対応したがまだ14才だ。クレームだったら、とかいろいろなことが頭を回っていて、表には出さないが凄く緊張していた。
しかし岳の話がクレームではなくアドバイスだと分かると一瞬だけ安心したような表状を浮かべたあと、すぐに仕事する時の顔になって、真剣にそれを聞いていた。

「ありがとうございました!!!」

「はは、それじゃ頑張れよ。」

「はい!!!」

なんだか会社とかでよくありそうなやり取りをサキは頑張って下さいというような目で見ていたが、ナギは何この展開?と早く帰りたさそうに入口のほうでただ呆れていた。
店を出ると迎えに来たハヤテがいた。彼は学校が終わったあと、全速力でここに来たらしく少しだけだが息が上がっている。

「もぉ〜、あんまり学校サボっちゃだめですよ。お嬢様。」

「うるさいな〜。学校より大切なものなんてたくさんあるだろ?」

ハヤテはため息をついたあと岳の方を向き、今日のお礼にと三千院家に来ることを提案した。岳も別に断る理由もなかったのでそれに賛成し、ハヤテたちと一緒に三千院家へ向かった。


三千院家についた後、ナギは買った新刊を早速開封しようとお屋敷の方へ走って行ってしまったので、ハヤテは少し岳を案内してから屋敷に向かうことにした。それにハヤテは三千院家のスケールの大きさで岳をびっくりさせてやろうとも考えていた。
が・・・

「やっぱりデカいんだな。」

(あれ?あんまり驚いてない?)

広大な庭にも、大きな屋敷にも、岳は初めてではなく、まるで前から知っていたような反応をしていた。このことからハヤテは、実は岳も結構な金持ちなんじゃないかと考え、彼に質問してみた。

「あの?岳さんってもしかして大富豪の御曹司とかなんですか?」

「いや、そんな金持ちじゃないし普通に一軒家で暮らしてるよ。てか、お前らがあんだけ話してたんだから、デカイってことぐらい予測はつくさ。」

予測していてもなぁ、とハヤテは思いながら岳を案内すること数分、彼らは玄関の前まで来ていた。するとナギがなにやら膝を抑えてうずくまってるのが見えて、二人は急いで駆けつけた。どうやら段差につまずいて転んでしまったらしい。彼女は大丈夫と言っていたが少し血が出ていたので、岳は傷口を抑える為にハンカチを取り出した。
ハヤテが救急箱を持って来て手当をしている途中、ナギは岳が貸してくれたハンカチのおかしな点に気づいた。

「なぁ、なんでハンカチを二つも持ってるのだ?」

ナギの質問にハヤテもそういえば、という顔をした。

「たしかに、岳さんいつもハンカチを二つ持っていますね。普通の黒っぽいヤツと桃色のヤツ。しかも桃色の方は全然使ってないみたいですし、何故なんですか?」

そう、岳はハンカチを常に二つ持ち歩いているのだ。学校にいる時も、アパートに遊びに来た時も、そして今回も。
岳はその質問を受けていい気分というわけではないようだ。いつもと違って、なんだか険しい表状をしている。そして彼はしかたないというような顔でポケットから取り出したものをハヤテたちに見せた。
それは桃色のハンカチで、ガラとかはなく横にフリルがついていた。見るからに女物だ。
女物を岳が持っているという点をのぞけば、一見ただのハンカチだったが、ハヤテはそれの端の方に黒っぽいシミが付いているのを見つけ、すぐにしまおうとしていた岳に一つの提案をした。

「あ、そのハンカチちょっとよごれてますね。よかったら先程のと一緒に洗濯しましょうか?」

「え・・・いや・・・」

すると岳は突然動揺し、彼らしくもなくどもっている。
ハヤテは何かお礼をしたい一心だったのでそんな岳の様子に気づいてないのか、許可もとらずに彼のハンカチを取ろうとした。が・・・



バンッ!!!!!!



気づくとハヤテは後ろの柱に首を締め上げられた状態で叩きつけられていた。柱には大きくヒビが入り、今にも折れてしまいそうだった。ナギは突然のことに何もできずそれを恐怖と驚愕が混じったような表状で見ていた。

「な・・・何を・・・」

「・・・・るな。」

ハヤテは強く胸を強く押さえつけられていたため、呼吸をするのもやっとな状態だったが、振り絞って出した声に返ってきた言葉は、小さくてよく聞き取れなかった。

「これに・・・・・さわるな。」

黒というより闇のほうが正しいかもしれない。ハヤテは自分を睨んでいる目をみてそう思った。そこには敵意以外何もなく、殺気を通りこして死すら感じられた。
しかしその目に闇があったのは一瞬で、ハヤテの足が地についた時にはもうただの黒に戻っていた。

「ごめん・・・やりすぎた。」

「い、いえ。僕の方も勝手に取ろうとしたわけですし・・・」

頭を下げた岳に慌てるハヤテ。正直まだ恐怖心が残っていたが、今はそれを必死に押さえ込んでいた。

「それは・・・大切な物なのか?」

ナギの方も軽いショック状態から抜け出し、岳があんなに怒った理由を聞いた。その問に岳は顔を俯け、そうだよ、と一言だけ言ってそれ以上は何も教えてくれなかった。

「あの・・・」

「本当にごめんな。柱は近いうちにこっちで修理するから。」

まだ落ち込んでいる様子の岳にハヤテは声をかけようとしたが、彼の言葉に遮られてしまった。

「あんなことして持て成してもらうのも悪いし、俺はもう帰るよ。ハヤテは明日、ヒナとデートだろ?そんな顔してたら怒られるぞ?」

岳は屋敷に背を向けたあと、爆弾発言を残して足早に帰ってしまった。ハヤテは彼の言葉に顔を赤くさせていたが、横からさっきのように激しい殺気を感じたので長くは続かなかった。

「ハヤテ・・・明日ヒナギクとデートって本当か?」

「い、いや、確かに明日ヒナギクさんと買い物に行きますけど、別にデートってわけじゃ・・・」

ハヤテは本日二度目の死を感じたので必死にナギを落ち着かせようとしているが、ハヤテの言い方では火に油を注ぐだけである。

  ドガッ!!!!!!

11月8日、三千院家では何かを殴る鈍い音が二回響いたという。











日が沈みかけ、もう一番星が見えるようになった頃、とある一軒家のベットに一人の青年が顔に手の甲をのせ、仰向けになっていた。
手が邪魔で彼の表状は見えないが・・・

「レナ・・・」

一人の名前を口にした青年の顔を覆っていた右手には、自分の血で汚れたハンカチが握られていた。













どうも、久しぶりの更新いかがだったでしょうか?
今回のキーアイテムはハンカチです。岳君にもいろいろあったんですよ。これはハヤテのSSですが、岳君の過去編でハヤテキャラが一切でてこない回もあるかもしれないです。そうならないようにできるだけ頑張りますが・・・
次回はついにハヤテとヒナギクさんのデートです。ここからが物語の折り返し地点ですね。
ちなみにデート編はすごい重要な部分なので、何話かに分けて書こうと思っています。
もうすぐシリアス方面に突入しますが、よろしくお願いします。
ちなみに最後に出てきた「レナ」というのは三番目のオリキャラで実際に登場するのはもっと後です。2番目はデート編のすぐ後に出すつもりです。実はまだ名前決まってないです。いやぁ〜この子ばかりは凄い重要だし自分としても大切にしたいので、力が入ってるんですよ。別に他二人のオリキャラも手を抜いてるってわけじゃないですよ?
まぁ2番目の人の設定は皆さん気づいてるかもしれませんが楽しみにしててください。
それでは   ハヤヤー!!