Re: ヒナミチ! |
- 日時: 2014/05/06 20:24
- 名前: ネームレス
- ふぅ、危うく失踪しかけたぜ……。
まぁ皆さん薄々気付いてると思いますがここのヒナギクは才色兼備の完全無敵の生徒会長ではありません。ただの優等生です。「こんなのヒナギクじゃねえ!」という方は見ないことをオススメします。 ……これ最初に言うべきだったな。
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「お義母さんお願い! 私、剣道したいの!」 その日の夕方。ヒナギクは帰ってきてすぐにヒナママに剣道部への入部の事を話した。突然の事にヒナママは驚いてしまう。 「ど、どうしたの急に」 「あ、そのね、せっかくだから部活に入りたいくて、それで剣道部に入りたいの。……ダメ?」 「うーん、剣道ね。危なくないかしら。ヒナちゃん女の子だもの」 「大丈夫よ! 防具を付けるもの!」 「でもねー」 そこに酒をたかりにきた雪路が現れる。 「なーにヒナ。あんた剣道やんの?」 「そうよ」 「あんたに出来んのー? 中学の頃は勉強ばっかしてたじゃない。剣道はハードよー?」 「むっ」 小馬鹿にするような雪路の態度に怒りの炎を燃やすが、雪路はケラケラ笑うとすぐに出て行ってしまった。 ヒナギクは怒りの形相でヒナママに向き直る。 「お願いお義母さん!」 必死なヒナギクを見てヒナママは少し困ったように考え込む。その様子をヒナギクは心配そうに見ていた。 そしてヒナママはクスリと笑う。 「わかったわ。いいわよ」 「本当!? ありがとうお義母さん!」 「ええ。あのヒナちゃんからのお願いだもの。断れないわ」 「うぐっ」 「あのヒナちゃん」という言葉に思い当たる節が多過ぎるヒナギクは言葉に詰まる。その様子をヒナママは面白そうに笑った。 「やるからにはちゃんと最後までやるのよ?」 「うん!」
「本当にやるのか」 「ええ。まあね」 「ふーん。今年の剣道部は豊作だな」 後日。学校ではいつも通りにヒナギクと美希が話していた。 「豊作?」 「ああ。剣道部にはヒナともう一人入るんだよ」 「たった二人で豊作なの?」 「いや。実質一人でもちゃんとやる気さえあれば豊作と言えるな」 「あー……」 ヒナギクは白皇学院の部活の実態を思い出していた。たしかにヒナギクみたいに真面目にやろうとする生徒はそういないだろう。 「ついでに、もう一人の方はわかる?」 「ああ。エスカレーター組のようだな。名前は東宮康太郎。13歳で1988年の6月24日生まれ蟹座。身長152cm体重42kg。よく上から目線から暴言を放ち困った時は執事をドラ◯もんよろしく呼んで解決する。しかしその都度お仕置きをされては人にすぐ助けを頼む癖を無くそうとはしているが進展は見られない。友達は皆無で学校行事の際にはいつも一人でいる所が目立つ。しかしその内面は下手な女子より女らしくリスを彷彿とさせる。剣道部の入部は執事の方が貧弱な精神と肉体の矯正のために強制的に入部させられたそうだ」 「……相変わらず凄い情報力ね」 「まあ親が政治家だからね。情報集めは得意」 「へー」 「ちなみにヒナもぼっち」 「余計なお世話よ!」 その時、ヒナギクの背後から怪しい人影が襲いかかる。 「きゃあ!?」 「捕まえたー!」 「たー!」 「朝風さん!? 瀬川さん!?」 理沙はヒナギクに覆いかぶさるように、泉は腰に腕を回し抱きつく。美希は笑い声をあげながらその状況を見ていた。 「な、なになに!? 何のよう!!?」 「明日動画見せると言ったのに!」 「ここ数日間どこに行ってたんだー!」 「何処にも行ってないわよ!」 「「というかこの学園広すぎ!!」」 「迷子!?」 二人のテンションに圧倒されてしまうヒナギク。周りから生暖かい視線を送られているのだが気にしている余裕は無さそうだ。 ヒナギクは二人を引き剥がすと肩で息をするぐらいには疲労していた。しかし二人はピンピンしており、どこか理不尽に思うように睨み付ける。が、二人は意に介した様子もなく、右手に持った「ソレ」を高々と持ち上げ見せつけた。 「……それは?」 「ビデオカメラだ」 「そういうことを聞いてるわけじゃ……」 「まあまあ。見てみるといい」 そう言って理沙はヒナギクにビデオカメラの映像を見せた。 「ちょっと! いったいなにが……」 文句を言おうとするが、その言葉はすぐに萎んで消えた。 そこには子猫の映像が流れていた。 「どうだ」 「頑張ったよー」 「…………」 ヒナギクは両目をいっぱいに見開き、集中してその映像を見ていた。周りの声は聞こえていない。 自然と緩み、柔らかくなっていく頬は緩い曲線を描き見る者を魅了する笑みを浮かべる。 もちろん理沙は写真を撮っている。 「……はっ」 そして、ようやく自分に向けられている視線にヒナギクが気付いた。 「な、何見てんのよおおおおおおおおおおお!!!」 「あっはっは。可愛いところもあるんだな」 「ヒナちゃん可愛い〜」 しかしきっちりと動画は貰うのだった。
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