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対象スレッド 件名: Re: (リレー小説)ハヤテのごとく!合作小説!!
名前: ネームレス
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2014/07/01  定かでは無いが ⇒ 定かではないが
2014/07/01  頼んでもないいかな ⇒ 頼んでもいいかな
【参考】対象となる原文

Re: (リレー小説)ハヤテのごとく!合作小説!!
日時: 2013/12/15 11:51
名前: ネームレス

三番手ネームレスです。
こうやって一つのストーリーを複数人でやると自分との書き方の違いなどが見れて楽しいw
それではやっていきます。

○●◉
ムラサキノヤカタにて。
千桜は自分の部屋でバッグから物を取り出していた。
その日はバイトも休みだったため、久しぶりに買い物に行こうとしたのだ。
しかし、

「……あれ?」

何故かお目当ての物が見つからなかった。
そこに執事服の少年が現れる。

「千桜さん。どうかしましたか?」

「ああ。綾崎くんか。ちょっとな」

「よろしければお話していただけないでしょうか」

執事服を着た少年、ハヤテは千桜から話を聞こうとする。

「いや、個人的な事だし」

「いえ。住民の皆さんの悩みを解決するのも執事の役目。個人的であろうと無かろうと、お困りとあらばどうか僕をお使いください」

「しかしな……」

ニコリと笑うハヤテ。流石の千桜も少し赤面してしまった。
しかし、千桜にとってはハヤテは執事ではあるがクラスメイトでもある。何でもかんでも頼むのは気が引けるのも当然と言えた。
だが、ハヤテはその反応を盛大に勘違いした。

「あ、もしかして下着が小さくなったとかですか?」

ごすっ。
鈍い音が千桜の部屋の中に響き渡る。

「例えそうだとしても、そういうのを口に出すのは如何なものかと思うぞ綾崎くん」

「す……すいません」

腹を抱えうずくまるハヤテ。千桜はため息をしながらハヤテを見下ろす。

「全く。ヒナも大変だな」

「え? ヒナギクさんは下着を変えるのはまだ大丈夫かと思いますけど」

突如、ハヤテが入ったあと開いていた扉の方から木刀が投げつけられ、ハヤテの後頭部を強打した。

「ハヤテくんのバカ!!」

「…………」(ピクピク)

「あーあ……」

ヒナギクはその場から怒り心頭と言った感じで立ち去る……ところで、立ち止まった。

「どうしたヒナ」

「千桜……アナタ。本当に大きくなってないわよね?」

「あ、ああ」

「そう……あ、いや。何でもないわよ!」

顔を真っ赤にしてヒナギクは逃げるように立ち去った。
一瞬ヒナギクの後ろに阿修羅が見えた千桜だったが、すぐに頭を振り幻覚だと忘れることにした。

「綾崎くん。私が困っていたのは下着の事じゃないからな?」

「はい……すみません」

「……はぁ」

流石に不憫になったのか、それとも気を紛らすためか、それは定かでは無いが千桜は困っていた理由を話し始める。

「実はな、財布を忘れたんだ」

「財布、ですか」

「ああ。多分バイト先でロッカーに置き忘れたのだと」

「大変じゃないですかーーー!!!」

「お、おう」

借金や親の事もあり、人一倍お金には敏感だ。

「えーと、それで今日、買い物にでもどうかなー、と思ってたんだが行けなくてな」

「大変です。今すぐ僕が取りに行きましょうか?」

「あ、いや。君に行かせるぐらいなら自分で」

その時、食堂の方から声が響く。

「千桜ー! モンハンしないかー!」

「………………」

「千桜さん。お嬢様をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「……そうだな。じゃあ、財布の方、頼んでもないいかな

「お任せください」

「千桜ー!」

「わかったー! 今行くー! ……綾崎くん。ありがとう」

「どういたしまして」

○●◉

「……はぁ。今日は千桜さんいないのか」

千桜のバイト先であるアニメイト。
そこでは一人の青年が品を並べていた。
モブAである。

「……綾崎、か」

千桜の彼氏の名字だとモブAは思っている。
彼にとって千桜の存在は特別なものであった。
一言で言えば、どストライクだった。
しかし、その千桜には彼氏がいる。それがモブAの元気を根刮ぎ刈り取っていた。

「……はぁ」

その時、新しい客が入ってきた。
その客には見覚えがあった。

(あ、あいつは!)

それはつい先日の執事服の少年だ。
顔が特徴的で、何より今の御時世に執事服というのは大変目立つため、見間違いようが無い。

(た、たしかあいつの名字も“綾崎”。どうする、聞いてみるか? でもなんて! 「千桜さんの彼氏ですか?」と急に聞かれて、答えるとも思えないし……。そもそも、「はいそうです」なんて答えられたら立ち直れないかも……)

聞きたい興味と、聞くのが怖い恐怖が頭の中でぶつかり合い葛藤を生み出す。

「すいません」

「え? あ、はいい!?」

「え?」

しかし、すっかり考え込んでいたためにその綾崎という少年が自分の目の前まで来ていることに気付けなかったモブA。つい驚いてしまった。

「あの……僕が何かしたでしょうか?」

「あ、いえ。全然、そんなことは全く無くてでしてね」

モブAは焦りに焦る。
頭の中は真っ白だった。

「えーと、じゃあ一つよろしいですか?」

「は、はい! お品をお探しですか?」

「いえ、そうではなくて……こちらで働いている千桜さんが忘れ物をしたそうなので、取りに来たんですけど、ロッカーまで案内してもらってもいいでしょうか?」

「…………え?」

モブAの頭の中は真っ白を通り過ぎ透明になった。

○●◉

「こ、こちらです」

「ありがとうございます」

(うわわ、大丈夫かな。思わず通しちゃったけど)

やっとか思考が元に戻ったモブA。
しかし、すでにロッカーのある場所まで案内してしまっている。

(……いや、これはチャンスなのでは? 何故なら相手は僕を知らない。それに、本当に電話相手の“綾崎”かもわからない。知らないふりして千桜さんのことを聞いてしまえば……そうすれば千桜さんと話すネタにもなるし)

「あ、あったあった」

綾崎が千桜のロッカーから財布を見つけ出した時、ちょうどモブAも結論を出す。
その時、モブAはただの店員ではない。その顔は戦地に赴く戦士の顔だった。

「それでは忘れ物も回収できましたのでありがとうございます。僕はこれで」

「ま、待ったー!」

「はい?」

「ききき、君が本当に千桜さんの知り合いかもわからない! 証拠もなくその千桜さんの財布を持ち出させるわけにはいかない!」

「え、え〜」

いきなりの事ながら、それもそうだと納得する綾崎だったが、それを証明するものも無いため困り果ててしまった。
そして、モブAもこの展開を想像していた。

(よ、よし。質問するぞ)「証明するものが無いなら少し質問してもいいかな?」

「わかりました。お願いします」

「ち、千桜さんとはどういう関係ですか?」

「関係ですか? そうですね……」

綾崎は少し思案したのち、答えた。

「クラスメイトですね」

(な、なんだってええええ!!)

「あと、一緒に住んでます」

(に、二度目だけどパンチがある……)

「そして、僕がお世話してますね」

「お世話!?」

「まあ、千桜さんは優秀ですから、自分から進んでやってくれるので僕も助かってるんですが」

「優秀……進んで……」

この時、モブAの頭の中では十八禁の妄想が繰り広げられていた。

「……あなたは、千桜さんのことをどう思って」

「千桜さんですか? それは、大切な」

「大切な……」

モブAは覚悟した。
自分の恋が終わることを。
しかし、出て来た答えは全く違うものだった。

「大切な、お嬢様のお友達です」

「…………え?」

モブAはその言葉を理解するのに数秒ほどかかった。

「お嬢様?」

「はい。僕は三千院家執事、綾崎 ハヤテと言います」

「クラスメイトというのは」

「そのままの意味で同じ学校の同じクラスの友達です」

「一緒に住んでるって言うのは」

「僕のお嬢様が営んでいるアパートに千桜さんが住んでいるんです。僕は執事として、お世話させてもらってます」

「お、お世話?」

「アパート内の掃除や食事の準備。他にも身の回りのサポートなど。ですが、千桜さんは自分から動いてくれるので、僕も凄く助かってます」

モブAは悟った。
全て自分の勘違いだと。
そして、自分の恋はまだ終わっていないと。

「よ、よかったー」

「え? 何がですか?」

「あ、いや。こっちの話。うん、ありがとう。君は千桜さんの知り合いみたいだね」

「あ、わかっていただけましたか」

ハヤテはほっとするがモブAはさらにほっとする。

(良かった……じゃあ、彼氏では無い……無い? 無い……んだよな)

しかし、嫌な想像だけは止まらなかった。

(お嬢様のお友達って言っても、同じ学校のクラスメイトで一緒に住んでいるならこの綾崎くんだって友達だろう。少なくとも、それなりに仲はいいはずだ。だったら、確実に付き合ってない可能性は0じゃないはず。それに、ここは千桜さんの職場だし、わざわざ恋人同士と言う必要も無い……そもそもお嬢様のお友達ということはお嬢様に隠れての禁断の恋とか!!)

オタク生活で鍛えられた妄想脳はとどまるとこを知らず、どんどん加速する。

「それでは、僕はこれで」

「あ、ちょっと待って!」

「はい。何でしょう」

嫌な顔一つせず応じるハヤテ。
それを見て、少しだけ落ち着きを取り戻すモブA。

(や、やばい。思わず引き止めちゃったけど、どうしよう……。と、とにかくそれっぽい理由を考えてもう一度ゆっくり話すチャンスを作らないと!)

頭をフルで回転させ、思考時間十秒。

「えーと、千桜さんは学生だろう? それに、アパート暮らし。その中でバイトっていうのは先輩としては少し心配で、日常生活の方を少しだけでいいから知っておきたいんだ」

「本人に聞けばいいのでは?」

「それはほら……恥ずかしいから」

苦しいか。
そう思うモブAだった。
千桜に無理してる様子は無いし、そもそもプライベートを他人経由で聞こうとしているのもなかなかに危ない。
ハヤテが住民の情報を守るために一言NOと言ったら、もうそれ以上追求も出来ない。

「……デリカシー」

「え?」

「あ、いえ。何でもありません。わかりました。あまり千桜さん個人に関わってくることは言えませんが、普段の生活での事ぐらいであれば、お話します」

「ほ、本当に?」

「はい」

「あ、ありがとう! じゃ、じゃあ今度の休みに食事でもしながら……」

こうして、モブAはハヤテと連絡先を交換した。
また会う約束をして。

(よ、よし。まずは彼と千桜さんが付き合っているか、最低限それだけは確かめるぞ。頑張るぞー!)

○●◉

それでは三話終了です。
お次は一周回ってHina2さんです。よろしくお願いします。
それでは、第四話お楽しみに。ノシ