Re: play the game |
- 日時: 2013/10/31 20:03
- 名前: kull
- どうもお久しぶりです。kullです。
前回から間が空いてますが、忘れてるわけじゃありません。 年内には終わらせたいです。
リレー小説大会4位でした。光栄です。
「・・・・暇だなー。」
日曜日の昼間。 俺は特にやることも無く、ゴロゴロと居間で寝転がっていた。
「宿題も順調、やるゲームも無し、テレビも見たいものは無い・・暇だ。」
ナギとルカは部屋で漫画らしきものを描いているし、ヒナさんは部活、西沢さんと千桜はバイトで、暇人は俺くらいなものだった。
「誰か相手してくれる人はいないものか・・・。」
横になって唸っていると、何やら綾崎君が出かける準備をしているのに気づいた。
・・・これはチャンスだ。暇なので綾崎君に着いていくことにしよう。
「綾崎君、どこ行くのー?」
「ああ、お嬢様がこの前お友達の家に忘れ物をしたらしいので、それを取りに。」
「ナギの忘れ物を綾崎君が取りに行くの?執事って大変だねぇ。」
「お嬢様は漫画を描くのに忙しいですから。」
「ね、ね、俺も一緒に行っていい?暇で仕方が無いんだ。」
「え、でも結構遠いですよ?港区まで行きますし・・・。」
「遠いならなおさら行きたいよ!時間が有り余ってるからね。」
「ならまあ、別に構いませんが。」
「・・・・ここがナギの友達の家?」
電車で数十分揺られ、数分徒歩で歩いた先には愛沢と書かれた見たこともないような豪邸が建っていた。 さすが三千院家の友人、半端な金持ちじゃない。
「なんか、凄い豪邸だねー。」
「まぁ、普通に見たらそうなりますよね。前にお嬢様が住んでいたお屋敷も、こんな感じでしたよ?」
「そりゃ三千院家だからね。今のアパートに住んでるほうが不思議だよ。」
何故三千院家のお嬢様があんな木造アパートに住んでいるのかは以前から気になっていた。 しかし何か複雑な事情があるようだし、あまり聞かないことにしている。
「もしもし、咲夜さん?綾崎ですけど。」
綾崎君がインターホンでそう告げると、門が開いたので俺達は屋敷の中へ入っていった。
「おお、来たな借金執事!」
屋敷から出てきたのはナギと同い年くらいの少女だった。 しかし、全体的に見ればナギよりも大人っぽく見えるだろうか。
「どうも、咲夜さん。先ほど電話でおっしゃられていたお嬢様の忘れ物を取りに伺いました。」
「おう。ところで、隣にいる貧相な兄ちゃんは誰や?見ない顔やな。」
「貧相って・・。確かにイケメンではないけど・・・・」
「ああ、この人はウチのアパートに新しく入居された立花さんです。立花さん、この方がお嬢様のご友人の愛沢咲夜さんです。」
「そうか、あのアパートの住人か!はっは、悪かったな、兄ちゃん。」
「うん、まあいいよ・・・。それより俺、関西の人って初めて会ったんだけど。」
「そうなん?でも、大して珍しくもないで?」
「ねぇねぇ、大阪ってどんなところなの?」
「大阪はな、コンビニで買い物をする時、レジでボケるのが基本的なマナーなんやで。」
「・・ええ!そうなの!?・・俺、コンビニ行けないな・・・・」
初めて聞く大阪の話に驚きショックを受けていると、咲夜というらしい少女が笑い出した。 どうも予想してなかった反応らしい。
「・・冗談や、冗談!いやー、自分、素直で面白い奴やなー。」
「なんだ、冗談か・・。」
「咲夜さん、お嬢様の忘れ物を・・。」
「・・ああ!この兄ちゃんが面白くてすっかり忘れてたで。まぁ、立ち話も難やし、奥へ行こうやないか。」
そう言われて豪邸の中の客間へ案内される。 屋敷の中はところどころに高級そうな物が置いてあったり多くの使用人が働いていたり、金持ちであることを実感させられた。
「うわー、高そうなソファーだなぁ・・。ねぇ、これ座っていい?」
「ええけど、大阪ではソファーには常にブーブークッションが仕掛けられとるで。」
「え?・・そんなんじゃ大阪の人は毎回座るとき大変だな・・・。」
「立花さん、嘘です・・・・。」
またも驚いている俺に呆れていた綾崎君が教えてくれた。
関西人は話の要所要所に冗談を入れてくるのか・・・。
「兄ちゃん、少しは疑うことも覚えたらええで?」
「そんなんじゃ疲れちゃうって・・・。」
「あのー、忘れものを・・。」
「分かってるって!・・・・・ハルさん!ナギの忘れ物を!」
咲夜が呼び声と一緒に手を鳴らすと、客間のドアから若いメイドさんが入ってきた。 凄く笑顔の可愛いメイドさんだ。
「はーい、持って来まし・・・た・・・。」
「ん?どうしたハルさん?何かおかしいで?」
「い、いや、何でも!」
「ねぇねぇ綾崎君、やっぱお金持ちの家のメイドさんは美人だね!マリアさんも美人だけど!」
「あかんで、立花の兄ちゃん。ハルさんがいくら美人だからって手をだしちゃ。」
「ハルさんって名前なんだー。・・どうもこんにちは、立花です。」
「は、はーい。メイドのハルです♪」
無難な挨拶をしたはずだが、何故かハルというメイドさんは焦っているように見える。
まずい、大阪式の挨拶は違ったのかな。
「ん?よく聞くと、その声どこかで聞いたことあるような・・・。」
微妙に違うが、ハルさんの声はどこか千桜に似ているような気がした。 注意して見ると背丈や髪の色も同じである。
「どこかでお会いしたことありましたっけ?」
「・・・いやいや!これが初対面です!」
「なんか千桜に似てるような・・。」
「いや!多分別人です!」
「・・・そっか、世の中には似てる人もいるんですね。」
「そうだと思いますよ!・・・それで、これが忘れ物です。」
ハルさんが渡してきたのは漫画の原稿らしきものだった。 絵柄からして恐らくナギの描いたものだろう。
「綾崎君、それナギの原稿?」
「ええ。この前お嬢様が咲夜さんに見せに行かれた時にお忘れになられたものです。それじゃ立花さん、帰りますよ。」
「もうちょっと見ていきたかったなー。」
「別にいつ来ても構わんで。兄ちゃん面白いから気に入ったわ!」
「ほんと?嬉しいなぁ。・・・なら、今日はもう帰るね。」
夜。 愛沢家から戻って少し時間が経ち、夕飯を待っていると玄関のドアが開く音がした。
「ただいまー。」
「あ、千桜お帰り!バイトも大変だねー。」
「そ、そうだな。今日は一段と大変だったよ。」
「ねぇ聞いてよ!今日さ、千桜に似たすっごい可愛いメイドさんに会ったんだ!」
そう話すとビクッ!!っと千桜が固まったような気がした。 自分に似てるメイドさんが可愛いって言われたから照れているのだろうか。
「そ、そうかー。いやー、世の中には似てる人がいるからなー。」
「ん・・・何か千桜おかしくない?」
「いやいや!いやぁ、そんなに似てるなら会ってみたいものだな!・・ほら、夕飯出来たみたいだぞ!」
「・・・やっぱ何かおかしい気が・・。まぁ、いいや。」
何処かいつもより慌てているような千桜を横目に、俺は今日も美味しそうな夕飯を食べることにした。
ありがとうございました。 咲夜の関西弁が非常に難しいです。
ハヤテってどれくらい敬語を使うんでしょうか・・。 本編だと丁寧語が基本ですが、尊敬語も使ってますよね・・。
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