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対象スレッド 件名: Re: play the game
名前: kull
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Re: play the game
日時: 2014/08/03 11:49
名前: kull

こんにちは。
世間は夏休みですね。自分もこの夏休み、何か大きなことがしてみたいです。
実際はバイトと遊びで終わりそうですが。

今回は亮介が買い物で悩むお話です。
イメージとしては7〜8巻くらいでハヤテがヒナへのプレゼントを悩んでるところに近いでしょうか。

あと数話なので、今月の終わりくらいまでには完結させたいです。







「・・で、実際さ、女の子って何を貰ったら喜ぶの?」

商店街までの道を歩きながら俺はヒナさんに尋ねた。
妙にはしゃいでスキップしていたヒナさんは足を止め、こちらに振り向く。

「それを今から見つけに行くのよ。」

「今から見つけに行くって・・・。曖昧だなぁ。」

適当にはぐらかされた感じがして納得出来なかったが、ヒナさんはどんどん前へ進んでいくので俺も仕方なく付いていく。

(ま、学校で人気No1のヒナさんならプレゼントとかたくさん貰ってそうだし、心配ないかなぁ。)

友人から聞いた話によるとバレンタインも誕生日もたくさん贈り物があったらしい。
やっぱり目の前にいる人は凄い人なんだなー、と改めて認識する。

「亮介くんこそ、千桜の好きなものたくさん知ってるじゃない。何か案は無いの?」

「うーん、確かに漫画とかゲームとかでも千桜は喜びそうなんだけど、今回はあんまそういうのに頼りたくないんだよね。」

「へぇ、そうなんだ。」

俺も漫画やゲームには詳しいっちゃ詳しいが、そういう知識では千桜の方が上だし、既に持っていたりしたら最悪だ。
となると、やっぱり他の物をあげたい。

「・・ほら、ついたわよ、亮介くん。」

考えながら歩いていると、ここらで一番大きな商店街に着いた。
休日だけあって、人もなかなか混雑している。

「とりあえずショーケースを眺めながら考えよう・・・。」

「そうね。・・・あ、あのぬいぐるみ、可愛くない?」

ヒナさんはいきなりぬいぐるみ屋のショーケースに飾られた大きいクマのぬいぐるみに夢中になっている。

「ああ、ぬいぐるみね。俺も一回考えたんだけど、千桜って実は数えきれないほどぬいぐるみ持ってるんだよね。ゲーセンとかで取るやつ。」

「あら、そうなの?今の千桜の部屋にはあんまりないけど。」

「うん、なんか実家にはたくさんあったらしいよ。この前一緒にゲーセン行ったときも限定のぬいぐるみ貰ってたし。」

「・・あら、やっぱり一緒にそういうところ行ったりするの?」

「へ?そりゃまあ、家じゃ出来ないゲームもあるからね・・・。なんか不思議だった?」

「・・・・いーえ。やっぱり二人は仲良しなんだなぁって思って。」

「・・別に、普通だと思うけど。」

ヒナさんはなにやら意味深な笑いを浮かべたように見えたが、すぐに次の店のショーケースへ走って行ってしまった。

「この服、可愛くない?」

「どれどれ・・・・確かに似合いそうかも・・・。」

(値段は・・・三万二千円!?・・まったく、どうして女の子の服はこんなに高いんだ・・。)

「どう、亮介くん。これにする?」

「・・・いや、まだ他にいいのがあるかもしれないよ!もうちょっと見て回ろう!」

「そう?まぁ、構わないけど。」














「うーん。なかなか良いもの見つからないなぁ・・・・。」

二時間ほど歩き回り、これといったものも見つけられ無かった俺とヒナさんは喫茶店で一息ついていた。
もう夕方に差し掛かっているが、夏の残暑はまだ激しく、コーヒーの氷はすっかり溶けてしまっている。

「・・ふふっ。」

「・・・・・どうしたのヒナさん。いきなり笑い出して。」

「大したことじゃないわ。・・ただ、前にもこうやって商店街でプレゼントに悩んでる人がいたなぁーって。」

「・・ヒナさんはその人も助けてあげたの?」

「・・いいえ。その人には特に何もしなかったわ。他に可愛い女の子がついていたし、そもそも私へのプレゼントだったしね。」

「そうなんだ。で、その人は結局何をプレゼントしてくれたの?」

「・・ちっちゃいクッキーと・・・少しの勇気、かな。」

どこか遠くを見るような顔でヒナさんは呟く。
その表情を見て、俺はその人物が誰だがなんとなく分かってしまった。

「・・・・その相手、綾崎君でしょ?」

その名前を言った瞬間、ヒナさんは飲んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになり、むせる。
ああ、やっぱりそうなんだ。

「な、何で?何で分かったの?」

「秘密。ついでに言うと、ヒナさん、綾崎君のこと好きでしょ。」

ヒナさんは飲み直したコーヒーをまたも吹き出しそうになる。
今度は顔も赤くなっているようだ。

「何で!?ねえ何で!?もしかしてエスパー?エスパーなの?」

「はは、落ち着いて、ヒナさん。別にエスパーじゃなくてもそれくらいは分かるよ。」

「・・・・何で分かったの?」

コーヒーを一気に飲み干して少しは落ちついたようだ。
完璧超人と言われる生徒会長も、恋愛の話題には弱いらしい。

「別に大した理由もないけどさ。なんとなく、あのアパートでヒナさんと綾崎君のやりとり見てたらそんな気がしただけ。それで言ってみたら、この通りだよ。」

「・・そんなに分かりやすいの?私。」

「そんなことはないけど、流石に一か月くらい一緒に生活してればね。ま、綾崎君は気づいてないみたいだけど。」

「・・・・・やっぱりそうよね。」

「でもさ、ヒナさんほどの美人が告白すれば、綾崎君も一発でOKするんじゃないの?」

素直に疑問に思ったので、口に出してみる。
実際、ヒナさんに告白されたら白皇の男子生徒の95%は喜んで受け入れるだろう。

「・・・そう上手く行けば、良かったんだけどね・・・・。」

ヒナさんはいきなりしゅんとしてしまった。
もしかして、地雷だったのだろうか。

「え!?ちょ、ちょっと、ヒナさん・・・?」







「何やら面白い話をしているみたいだね。」





急に後ろから女の子の声がする。
振り向くと、いつの間にか花菱さん、瀬川さん、朝風さんの三人組が背後に立っていた。

「にははー、こんにちは、立花くん。元気ー?」

「若い男女が二人で喫茶店って・・・。まさか、千桜を置いてヒナとデートか?」

「ち、違うよ朝風さん!これは千桜へのプレゼントを買いに来てるだけ!そういうのじゃないから!」

「そうよ理沙。私は亮介くんにアドバイスをしてるだけ。」

いつの間にか平常に戻っていたヒナさんが後ろからフォローしてくれる。
落ち込んでないみたいで、少しほっとする。

「なんだ、つまらないな。それで、プレゼントは何にしたんだ?」

「それが、まだ決まっていなくて・・。」

「あ!そうだ!私いいお店知ってるよ!」

「え、瀬川さんほんと?是非案内して!」


自信ありげに提案した瀬川さんの向かった先は、いわゆるネックレスなどを扱う貴金属の店だった。
見るからに高級感漂ってるんだけど・・・。


「ほら!ここのネックレスならちーちゃんも喜ぶと思うよ!」

「そ、そんなこと言ってもなぁ・・・。値段が高すぎるって・・・。」

「おや、立花くん、君の千桜への感謝の気持ちはそんなものなのかい?」

「いや、そういうことじゃなくて・・・。」

色々な言葉を背中に受けながら、なんとか買えるレベルのネックレスを探す。
最終的にたどり着いたのは、特に飾りのないシンプルな銀のネックレスだった。

「・・・店内を見た感じ、これが一番安いみたいだけど・・・・。」

値札にはやはり払えない金額が書かれている。
店内で一番安いとはいえ、店自体が普通のショップより遥かにレベルが高い。

「そちらをお求めですか?」

横から話しかけて来たのは初老の紳士風の店員だった。
お求めですかと言われても、値段はこちらのキャパシティを上回っている以上、迂闊にはいとは言えない。

「え、いや、あの、えーっと・・・。」

ちらっと瀬川さん達の方を見たが、既に三人は別のネックレスの前ではしゃいでいる。

「えと、まだ決めていなくて・・・。」

「お客様、あちらのお嬢様方のお知り合いですか?」

「え?まあ、そうですけど・・。」

「あちらのお嬢様達、特に瀬川お嬢様にはいつも大変お世話になっております。ですから、少しお値段を下げることも可能でございますよ。」

「ほ、本当ですか?助かります・・。」

「それにお客様、こういった場所は不慣れなようで。そのようなお客様に、このお値段は少し厳しいかと。」

「そういうの、やっぱり分かるんですか?」

「長年勤めておりますので。・・・・・では、こちらのお値段でいかがでしょう。」

電卓に打たれた数字は最初のものよりもずっと安く、ギリギリ手が出せるレベルまで落ちていた。

「・・・・ありがとうございます。買わせてもらいます。・・プレゼント用の包装してもらっていいですか?」

「承りました。」


「・・助かった。瀬川さん、ありがとう。」

会計を済ませ、無事にネックレスを買うことが出来た俺は瀬川さんにお礼を言った。
瀬川さんはいつも通りの笑顔で、

「ううん、全然いいよー!ちーちゃんへのプレゼントだもんね!良いもの買わなくちゃ!」

「我々と来てよかっただろ、亮介くん。」

「泉も美希も私も、この店の常連だからな。店員も少しは気を利かせてくれただろ?」

「うん、すっごい助かったよ・・・。あれ、ヒナさんは?さっきもいなかったけど。」

「ああ、ヒナなら先に帰ると言っていたよ。何か用事があるんじゃないか?」

「・・そうなんだ。ありがと。じゃ、俺も帰るね。三人とも、今日はありがとう。助かったよ!」

三人に別れを告げて店を出ると、外はもう夕焼け空になっていた。
ヒナさんはやはりまだ落ち込んでいたのだろうか。だとしたら悪いことをしてしまったな、と少し罪悪感を感じる。
しかし、良い感じのプレゼントが見つかったのはなによりだ。

(買ったのはいいけど、いつ渡そうか・・・)

バッと買ってバッと渡すのはなんだか面白く無い気がする。
・・・ま、とりあえずそのことは置いといて、帰ってヒナさんの機嫌を直すことから考えよう。















誤字脱字等あったらお願いします。