Re: play the game |
- 日時: 2013/10/07 21:11
- 名前: kull
- どーも、kullです。
二話目です。
「春風さんって、ゲーセンいったりとかするんだねー。」
ゲームセンターに行く途中で、さっき感じた驚きを伝えてみる。
「なんていうか、マジメな人を想像してたからさ。驚いたよ。」
「まぁ、ストレス発散くらいには。君はよく行くの?」
「俺は暇なときには結構行ってるよ。『ライト&ダークネス』は最近見つけたけど。」
他愛も無い世間話をしながら歩いていると、目的地のゲームセンターについた。 今日も相変わらず人は少ない。 俺と春風さんはゲームの筐体に座り、コインを入れてキャラ選択をする。
「んー、とりあえずいつも使ってる主人公キャラでいくか・・。お、春風さんはライバルキャラか。」
get ready?go!の合図で対戦が始まる。 CPUとの戦いならもうほとんど負けなくなっていたが、やはり対人戦は違った。
お互い対人は経験したことが無かったため技術に差はなく、試合は接戦だ。 でも、春風さん妙に慣れてて動きが良いような・・。
「・・・ん、あー。負けちゃった。」
結局3本勝負の2本を取られてしまい、1回目の対戦は俺の負けに終わった。 とりあえず感想を伝えにいくため対面に回り込む。
「春風さん強いね!なんか動きが良いっていうか・・。」
「いや、私も最近始めたばかりで上手くはないよ。でも一応、前作の家庭版をやったことがあるから・・。」
「・・・え?前作の家庭版って『ライト&クロニクル』?あれ生産が少なくて、すっごいレアじゃなかったっけ!?」
最新の『ライト&ダークネス』でさえ人気が無いので、前作は更に人気が無く、家庭版は激レアだった。 俺も手に入れようとはしたことはあるが、どこにも在庫が無かったのを記憶している。 目をキラキラさせて聞いていると、春風さんが嬉しい提案をしてくれた。
「今住んでいるアパートにたまたま凄いオタクがいてね。・・・良かったらウチに来てやってみる?」
「え、本当!?でも、いきなりそんな・・・・」
ヴヴヴ・・ケータイのバイブ音が聞こえた。 春風さんのケータイが鳴ったらしい。春風さんは失礼、と言ってスマートフォンを取り出した。
「あ、どうもマリアさん。・・・・はい、分かりました。えっと、ちょっとお客さん連れてきてもいいですか?・・・はい。どうも。では。」
「アパートのメイドさんが昼食が出来たとさ。君が来る許可も取っておいたよ。」
アパートにメイドさんがいるなんて凄い・・・と思いつつ、結局お呼ばれすることになった。
「ここが春風さんの家?」
「いや、違うよ。ちょっと事情があって、アパートを借りてるんだ。普通とはちょっと違うけどね。」
今時珍しい木造のアパートを目の前に、俺と春風さんは話していた。
「ただいまー。」
「えと、お邪魔しますー。」
扉を開けて中へ入ると、中から茶髪のメイドさんが出迎えてくれた。
「お帰りなさい、千桜さん。・・あなたがお客さん?ゆっくりしていってくださいね。」
「え・・・・・・あ、はい・・・・」
「なに緊張してるんだい、立花くん?」
「いや、すっごいキレーで大人っぽい人だから・・・。」
「マリアさん17歳だけどな。」
マリアさんって名前なんだー・・って、ええ!?同い年!? あんな大人っぽい人見たことないよ・・・と驚きながら食卓へ向かうと、同じクラスの三千院さんと綾崎くんが座っていた。 テーブルの上には美味しそうな食事が並べられている。
「千桜お帰りー。・・・む?お前は誰なのだ?」
「初対面の人に向かってそれは失礼ですよ、お嬢様。っていうか同じクラスじゃないですか。・・確か、立花君でしたよね?」
「ど、ども・・。そうです、立花です。」
名前を覚えられていなかったことに若干ショックを受けたが、綾崎君がフォローしてくれた。 評判通り、優しい人だなぁ。
「ウチにあるゲームがやりたいっていうから連れて来たんだ。他の住人はどうした?」
「部活やら、秋葉のイベントやら、補習やら、買い物やらで今いるのは僕らだけです。」
「そうか、じゃあ私達だけで先に食べてしまおう。・・立花君も遠慮せずにどうぞ。」
「そ、そう?・・じゃあ、お言葉に甘えて・・。いただきます。」
「ご馳走様でしたー。・・凄い美味しかったよ!これ、綾崎君が作ったの?」
「いやいや、僕がやったのは仕上げだけですよ。ほとんどはマリアさんです。」
あんなにキレーで料理も上手いなんて、理想のメイドさんだなぁ・・・と台所にいるマリアさんを見る。
「いくらマリアが美人だからって、手を出すんじゃないぞ!・・・ところで立花と言ったな?お前、さっきの話は本当か?」
「え?前にゲームで全国大会出たって話?あれは運が良かっただけだよー。」
以前に一度、宇宙やら地球やらを舞台とする某有名ロボのゲームで全国大会に出た話をしたのだが、興味をもってくれたようだ。
「運でも何でも構わん!私とゲームで勝負しろ!私が勝てば私は全国クラスのゲーマーということになる!」
「言われなくても、彼は『ライト&クロニクル』やるために来たんだが・・・。ごめんな立花くん、ナギの変なスイッチ入ったみたい。」
「いや、別に構わないよ!・・・ゲーム違うから、別に全国クラスじゃないけどね。」
「早くこっち来い!すぐに始めるのだー!」
よく分からないけど張り切っている?らしい三千院さんが急かすので、俺と春風さんはゲームを始めることにした。
「んー、どのキャラ使おうかなぁ・・・。やっぱゲーセンでも使っている主人公の「光 京介」かな!」
「主人公だと!?軟弱な!このゲームで一番魅力的なのはラスボスの「闇川 茂」だろうがぁ!」
「何言ってるんだナギ!誰がどう見たって一番はライバルの「新城 圭吾」だろ!?」
「いやいや主人公かっこいいじゃん!・・・こうなったら実際に勝負だ!」
激しい口論と、何戦にも渡る『ライト&クロニクル』の試合は何時間も続いた。 気づいた時には外は暗く、時計も7時を回っていた。
「はぁ、はぁ・・・・・。結局、決着はつかなかったな、立花よ・・。」
「そうだね三千院さん・・・。てか、やっぱ春風さん強いね・・。」
「ふふ、やっぱライバルキャラが一番かっこいいってことなのさ!」
その一言でまた口論が始まりそうだったが、自分のケータイが鳴っていることに気づいた。 画面には「父親」と出ている。
「ん、なに父さん?・・・・・ええ!?今日から海外旅行!?仕事どうした!?・・・・夏休みって、ええ!?」
話を聞くと両親は今海外にいるらしい。 なんでも俺がなかなか帰ってこないので置いていったとか。
「いやちょっと待って!いつ帰るの?・・・九月!?・・いや、ご飯とかどうすんの!?」
様々な疑問を投げかけるが、親はお金は家に置いといたから、と言って電話を切ってしまった。
「立花さん、どうしたんですか?何やら大変みたいですが。」
お茶を入れてくれた綾崎君が不思議そうな顔でこちらを見る。 俺は呆れた顔で今の用件を説明する。
「そ、それはまた自由な親御さんですね・・・・。」
「うん、まぁここまでとは思わなかったけどね・・・。夏休み中、1人暮らしかぁ・・・。」
ため息をつきながら俺は途方に暮れる。
「そうですね・・・・よかったら、このアパートに住みます?」
「え、綾崎くん、今何て?」
「いや、一人暮らし嫌なら、このアパートに住んだらどうかなーって。」
さりげなく凄い提案をしてきた。 住めるなら、それはもう有難い話だけど・・・。
「でもハヤテ、部屋はもう埋まっているぞ?」
「大丈夫です、女の人ならともかく、立花さんなら僕の部屋に来れますから。・・・相部屋になっちゃいますけど、大丈夫ですか?」
「いやいや、全然いいよ!むしろ綾崎君こそごめん!」
「僕は気にしませんから。」
「ふーん・・・・私としては別に構わんが・・・家賃4万、ちゃんと払えよ?」
「家賃はいいんだけど・・三千院さんとか、春風さんとか、大丈夫なの?」
「まだゲームの決着がついていないからな!・・それに、遊ぶやつは多いほうがいいし・・。」
「私も歓迎だよ。・・君とは仲良くなれそうだしね。」
「ありがとう!春風さん、三千院さん!」
「その三千院さんという他人行儀な呼び方はやめろ。・・・ナギで、よい。分かったな、亮介!」
「同じアパートに住むんだし、私のことも苗字ではなく千桜って呼ぶといい。・・・いいな、亮介くん?」
「え、あ、うん・・。よろしくね。・・・・ナギと、千桜。」
女子を名前で呼ぶなんて、いつぶりだろう。 少し慣れないが、距離が縮まった気がして、嬉しかった。
どうも、ありがとうございました。 よかったら感想等いただけると幸いです。
どーでもいいんですが、度々ゲーセンが出てくるのは、僕がゲーセン好きだからだったりします。 エクバとかガンストとか好きですね。
今回もゲームの名前とか、キャラの名前とかはテキトーです。
|
|