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対象スレッド 件名: Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-B更新】
名前: ロッキー・ラックーン
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-B更新】
日時: 2013/06/18 01:30
名前: ロッキー・ラックーン

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
本当に本当に長い事放置していました。申し訳ございません。
前回更新がアニメ3期中だと思ったら、もう4期も終盤に向かっています。
ゆっくりゆっくりですが、進めていく気はありますので、お付き合い頂けると嬉しく思います。

さて、今回はまたアーたん(大)がメインになるお話です。
この流れにしようかどうかは非常に迷いましたが、なんとか仕上がりました。
お楽しみ頂けたら幸いです。

それではどーぞ!



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     After第2話そのC【 Get Back 】





「フフンフフンフンフン♪ア〜ビバノノ♪」



こんばんは、綾崎ハヤテです。今回も温泉宿からお送りしております。
いや〜、それにしても温泉はイイものですね。
日頃の疲れが吹っ飛んでしまう気持ち良さ。
思わずお風呂で定番のあの曲を口ずさんでしまう程だ。

お嬢様、元気にやってるかな…?
そろそろ夕食も終わって、千桜さんとモン●ンでもしてる頃だろうな。
そういえば、売店にご当地ア●ルーが置いてあったからお土産に買っていってあげようかな…。



「あ、今日は満月か…」



遠い東京の地で暮らす家族に思いを馳せていると、ふと大浴場の窓から見事な月が目に入る。
まんまると暗闇を照らすそれは、今日もあの女神様を連れて来るのだろう。
ところで、月を見ていると思い出す事が結構あったりする。
お嬢様と初めて出会った時、ヒナの誕生日の時、アーたんを王玉から解放した時、ヒナと恋人になれた時…と、何かしら僕の身の周りで大きな事件があった時、その空には月が綺麗に輝いていた。
さて、今夜の満月はどんな事を僕の身に起こすのだろうか…。











ゴキュッゴキュッゴキュッゴキュッ…

「プハ〜っ!う〜ま〜いっ!!」



ここは大浴場から出た先にある休憩スペース。
温泉から上がった僕は、ヒナを待つ間にコーヒー牛乳を飲んでいた。
やっぱフロ上がりにはコレが一番ですよね〜。乾いたカラダに染み渡っていく感じがもうたまらない!
後でヒナにもご馳走してあげようかな〜。



「ずいぶんとご機嫌です事ね、ハヤテ?」

「あ、アーたん!久しぶり」

「ええ、お久しぶりですわ」



空になったビンを片手にニヤニヤしてる僕に声をかけるのは、想像したとおり大きな姿になっているアーたん。
ヒナが着てたものとお揃いの浴衣姿に、はからずも胸が高鳴った。



「あれ、ヒナと一緒じゃないの?」

「ヒナにはスペシャルエステコースを予約しておきましたの。この旅行で、ヒナに日頃の疲れを癒して貰いたいという私とおば様からのプレゼントです」

「そーなんだ」



そういえば、休憩スペースとは逆方向にエステサロンがあったのを思い出した。
なるほど、ヒナはそっちに行ってるのか。となるとしばらくはアーたんと二人きりという事になるな…。
いや、別に他意は無いけど。



「コーヒー牛乳、アーたんも飲む?」

「あら、ご馳走してくださるのですか?」

「うん。じゃあ買って来るね!」



嬉々として自販機に向かう。
キラキラと目を輝かせて喜ぶアーたんの顔に、僕の歩調も軽やかになった。



「ハイ、お待たせ〜」

「ありがとう、ハヤテ。では、いただきます」


ゴキュッゴキュッゴキュッゴキュッ…


「プハーっ!コレですわね!!」

「アーたん、なんというか…ワイルドだね」

「この前ナーちゃんから見せてもらったマンガに、お風呂上がりのコーヒー牛乳の正しい飲み方が載ってましたので」



腰に手を当てて、豪快にコーヒー牛乳を飲み干すアーたん。
僕はというと、彼女としてはそのつもりが無くても、浴衣の中からその存在を主張してくる大きな胸に釘付けだった。



「…ところでハヤテ。さっきから貴方の視線で、胸のあたりが暑苦しいのですが」

「え゙っ…何の事やらさっぱり。気のせいぢゃないかな?」

「ジトー」

「あ、アハハ…」



流石にオイタが過ぎたようだ。
いえいえ!!僕はただ、そこにあるおっぱいに対して敬意を払っただけで、やましい気持ちなど一つも無いんですからね!
ヒナを愛している事とおっぱいへの敬意は全く別のものなんですよ!(←言い訳すればするほどますますドロ沼にはまる綾崎ハヤテ君)



「まったく、久しぶりに会えたというのに締まりませんわね…。場所を変えましょう。少し夜風にでも当たりませんか?」

「うん。じゃあ上着を取ってくるね」

「お願いしますわ」



気を取り直してアーたんとの時間を過ごすべく、茶羽織(浴衣の上に着るアレです)を取りに部屋へと小走りした。











「こうやって二人でいるのも、久しぶり…ですわね」

「そうだね…」



温泉宿の前にはちょっとした遊歩道がある。
街灯の数が少ない中でも月の光で十分に照らされていて明るく、かなりロマンチックな感じが漂う道だったりする。
その遊歩道を久々の身体の感覚を確かめるかのようにゆっくりと歩くアーたんの姿を、僕はその2・3歩後ろから見守っていた。
鮮やかな髪に月明かりがふんわりと落ちていく様には、神々しさすら覚えるほどだった。



「ハヤテ、今の生活はどうですか?」

「うん、すっごく幸せだよ。心の底から」

「そうですか、それは良かった。ヒナのおかげ…という所かしら?」

「それはモチロンだけど…ヒナだけじゃない。アーたんやお義母様やナギお嬢様…僕の幸せを願ってくれる人たちがたくさんいる。本当に感謝のしっぱなしだよ」



道沿いにあるベンチに腰をかけながら質問をするアーたん。
僕はその後ろに立ち、彼女の身体に触れないように背もたれの部分に体重を預ける。
ベンチの周りは見晴らしを妨げるものが無く、素晴らしい満月と星空が僕たちを包み込んでくれた。



「そうですか。自分の身の周りへの感謝の気持ちを常に持つ事というのは、簡単そうに思えてこれが中々難しかったりします。良い心がけですわね」

「うん!」



アーたんは、良いと思った事はすかさずその場で褒めて微笑みかけてくれる。
僕はこの瞬間が大好きだ。子供の時からずっと。



「私も、ヒナやおば様やナーちゃん…もちろん貴方にも。感謝しています。…いつもありがとう」

「…うん。どういたしまして、アーたん」



その小さな手を僕の手の上に乗せるアーたん。
それきり、僕たちは言葉も交わさずに美しい空を見上げていた。











「ハヤテが私を助けてくれた時も、こんな綺麗な月夜でしたわね」

「うん、そうだったね…」



長い沈黙を破ったのはアーたんだった。
立ち上がって、僕の方に向き直り、両手で僕の右手をその胸の前に誘う。



「このまま、私と一緒に何処かに行ってしまいませんか?…いえ、ハヤテと一緒に行きたいのです!」

「アーたん!?」

「借金なら私がカタをつけます。何も気にする事はありません。私は貴方が…ハヤテが好き。今でもずっとずっと」

「え…」

「だからハヤテ、私と一緒に二人でまた…」



アーたんの両手が震えているのが僕の右手に伝わる。
僕の頭は彼女の予想外の言葉と行動にパンク寸前だった。
そんな混乱した脳みそとは裏腹に、僕のまぶたの裏側には一輪の花の姿が鮮明に浮かび上がっていた。
その花は太陽を仰いでいた。その花は僕に「好きだよ」と言ってくれる代わりにそこで咲いていた。



「ごめん、アーたん。それは出来ないよ」

「……」



アーたんの手を両手で優しくほどく。
ほどいた手は、彼女の胸の前に乱暴にならないように置いて来た。



「僕は、ヒナが好き。アーたんの気持ちは嬉しいけど…僕はそれに応えられない」

「…っ」

「もちろん、アーたんも僕の大切な人だよ。初恋…だったと思う。でも、今の僕はあの時とは違うから…。だから、アーたんと一緒には行けない」

「ハヤテぇ…」



涙を見せないように僕に抱きついて来るアーたん。僕はそれを拒む事もせず、触れる事も無い。
コレが彼女に対しての最善の言葉なのかは分からない。
ただ、本気の本気で告白してくれた相手への礼儀として、自分の気持ちをハッキリと言わなくてはいけないのだと思った。



「…もう、私を抱きしめてはくれないのですね」

「ゴメンね…」



僕はそこから動かずにアーたんの身体の震えが止まるまで肩を貸した。
きっと、これで良かった。今の僕には、こう自分に言い聞かせる事しか出来ない。
誰かを選ぶという事は、他の全ての人を選ばないという事だと誰かが言っていたのをふと思い出した。



「という訳でおば様〜、もう良いですわよ〜!」

「は〜い♪」

「!!?」

「ハヤテ君、ゴメンね〜!先に謝っておくわ〜、全部見てたわよ〜」

「お義母様!?」



急に空気が変わった。ガラッと明らかに。
この物語お得意の、僕とヒナを置いてけぼりにする空気になった。



「えーと…アテネさん、コレはいったいどーいう…」

「最終回を迎えようとするにあたって、読者さん的に一番気になるかと思う所をハッキリさせておきたかったので、おば様にご協力頂きました」

「へ?」

「それにしてもハヤテ君、アッちゃんに向かってここまでハッキリ言っちゃうなんて…お母さん、どうしようかと思っちゃったわ」

「いえ、これくらい言ってくれないとこれまでの私たちの苦労は水の泡ですわ」

「あの…何がなにやらさっぱりなのですが…」

「貴方を試させてもらいました。強く、優しく、甲斐性のある…ヒナに相応しい男性かどうかを。他の女に迫られたら流されてしまうような薄情者ではなくて、安心しました」

「は、はぁ…」



最終回という良く分からない言葉に戸惑いを覚えながらも、アーたんのしたかった事が少し理解出来た気がする。
小さい頃から幾度と無く彼女を苛つかせたであろう、優柔不断の化身だった(←過去形)僕への最終試練…と言えば良いのかな?



「ハヤテ」

「?」

「貴方はヒナの事だけを愛しているのでしょう?」

「うん」

「『誰か一人を選ぶ事』というのは、とても勇気がいる事です。勇気とは、恐怖を知る事。勇気とは、無償の愛を惜しまずに差し出す事。今のハヤテには、その勇気があります。だから、もっと自分を誇っても良いのですよ」

「…そうかな?」

「そうですわ。だから、しっかり守りなさい。その手から零れ落ちてしまわぬように」



アーたんの放つ言葉は、ひとつひとつが優しく、それでいて僕に強さを与えてくれるものだった。
勇気…か。
いつの間にか僕の中に宿っていた熱い気持ちの正体は、きっとそれだったのだろう。



「ハヤテ、返事が聞こえませんわよ?」

「アーたん、お義母様。僕は、ヒナを守り抜きます!命を懸けて!!」



嘘じゃない。大口を叩いているつもりも無い。
ただ僕のしたい事、すべき事、出来る事がこの言葉の全てだった。



「うふふっ…良い返事ですわよ。ね、おば様?」

「うんうん。頼りになるわね〜。…でもね、ハヤテ君!」

「ハイ?」

「ヒナちゃんだって、なかなか強いわよ?カラダはもちろんだけど、ココロもね。だから、ハヤテ君が挫けそうな時は遠慮はいらないわ。ヒナちゃんにしっかりと守ってもらいなさい」

「……」「……」



目を見合わす僕とアーたん。
確かにヒナの人生で守るものはヒナ自身が決める事だ。
だから、その守りたいものが僕だったとしたら、これほど嬉しい事は無い。



「ハイ、お義母様!しっかりヒナに守られます!」

「流石はおば様ですわね。美味しい所を一気に持ってかれちゃいましたわ」

「えへへ〜。伊達にヒナちゃんのママを10年もやってないわよ〜♪…というワケで、ハイコレ〜!」



と、お義母様が取り出すは、お米から作られている透明の液体。
真っ白なとっくりに入っているのがなんとも風情のある…



「って、お義母様!?」

「せっかく大きいアッちゃんとも会えたんだしね、細かい事は抜き抜き〜♪」

「そうですわね〜、頂いちゃいましょうか。ハヤテはいらないのですか?」

「そ、そんな。仲間外れはやめて〜」



という訳で、いつものごとく宴会の流れに相成りました。
お義母様がどこからか出してくれたお猪口に注がれる液体からは湯気が出ていた。
いったいドコで用意して持ってきたのやら…



「では、ビッグなアッちゃんとの出会いと、ハヤテ君とヒナちゃんの未来をお祝いして…」

「「「カンパーイ」」」



お月見をしながらというのも実にオツなものだなとしみじみ思う。
普段は透き通るように白いアーたんの顔がすぐに真っ赤になったのはアルコールのせいだと思ったので、深く気にする事はしなかった。












 ざわ…
          ざわ…


「それだ、ロンっ!メンタンピンイーペーコードラ3…裏も乗って倍満だじぇ!」

「うわぁ〜、ナギちゃんそりゃ無いよぉ〜」ぐにゃあ



おっす、今日も元気だタコスが美味い!メインヒロインの三千院ナギだじぇ!
今はハムスターと17歩の勝負をしてる所なのだが…自分の強運が恐ろしいほどに勝ちまくっちゃったりしていて、機嫌がとても良いのだ。

♪〜

と、気分よく高笑いをあげている所に電話がかかって来る。
発信元は…「アリス」と表示されていた。

Pi



「はい、もしもし…ああ、そういえば今日は満月だったな。温泉は楽しんでるか〜?
 …そうか、やっぱりダメだったか。
 …へえ、ハヤテがそんなハッキリと。まあ、それはアーちゃんが相手だったからだと私は思う。うん、きっとそうだ。
 …じゃあ今度は私が慰めてやる番だ。だから、今度会う時まで泣いちゃダメだぞ!
 …引き続き二人の事は頼んだぞ。明日は…そうか、いよいよだな。あいつら、きっと驚くぞ〜。
 …では、アーちゃんもせっかくの元の身体なんだから楽しんでな。
 …うん、またな」


Pi


「アリスちゃんからかな?」

「いや、今日は満月だ。大きい方のアーちゃんだった。…ハヤテに告白出来たらしい」

「…そっか。頑張ったんだね」



今回のアーちゃん(大)の告白の件、実は私とハムスターは前々から知っていたのだ。
満月の夜に何回か会って話しているうちに、思い切って告白してみようという流れになって、私達二人で応援するという事になったのだ。
「告白出来た」から先の話をハムスターは聞いて来ない。ただただ優しくて切なそうな表情で私を見つめる。
コイツのこういう時に空気を読めるスキルは流石だと思う。



「…ところで例の作戦の方も、かな?」

「ああ、順調だそうだ。後は、あの二人が互いに踏み込めるか次第だな」

「そっか、いよいよなんだね〜。ああ、ハヤテ君…」

「コラ、そんな顔するな。皆で二人を応援する約束だろ?」

「…うん。ナギちゃんは偉いね。」

「一度決めた事だからな、当たり前だ。やるからには、徹底的に…だぞ!」



まあ、もちろんハヤテとヒナギクの事を邪魔する気は一切無い。これはアーちゃん(大)も一緒だ。
今回の温泉でも、二人の距離を一気に縮めさせるべく、いくつかのとっておきの策を練っている。
その作戦の実行役を買って出たのがアーちゃんだった。だからこそ、私達は告白の応援が純粋に出来た。
どんな作戦かって?それは…次回をお楽しみに、だぞ!
私の活躍を楽しみにしておくのだぞっ!!










「ふぇぇ〜…これは気持ちいいわぁ〜…」

(↑今回出番ナシで、エステを満喫する桂ヒナギクさんでした)




【つづく】


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【あとがき】


アーたん(大)のハヤテ邂逅編でした。
本気のように見えた告白が実はブラフだった。…ように見せかけておいて本当は結構本気だったという展開でした。
アテネの恋の決定的な終わり…書きたいけど書きたくないというジレンマがネタの出を遅くした要因になりました。
ハヤヒナ混浴は次回に出来たらと思っております。



■サブタイトル

ビートルズの曲名からです。
「一度いた所にまた戻って来て欲しい」というアテネの心情にピッタリでしたので、拝借させて頂きました。


■男・綾崎ハヤテ

ギャグパートではひたすらに男らしいハヤテを魅せます。
愛情とおっぱいは別物…ココまで言えればヒナも呆れてくれそうです。

シリアスパートではとにかくハッキリとした言い回し。
借金でも執事でもなく、ヒナが好きだから。他の女の子に期待させるような言い回しはダメと心に誓っています。
原作とはもはや別人ですね。


■「しっかり守りなさい」

アニメ4期のアリスのこのセリフが今回の話を書くきっかけになりました。
アニメではワタル君にかけられたこの言葉。ぜひともウチのハヤヒナに、と思った次第です。


■恒例の宴会

未成年の飲酒は法律により禁じられています。
この物語のキャラクターは特殊な訓練を受けています。
アテネの顔が赤い理由は、やっぱりこみ上げる物があったようです。


■例の作戦

もちろん、ハヤヒナをドタバタさせて距離を縮めさせるモノになっています。
ご期待ください。



…では、ここまでありがとうございました。
ご感想・ご質問等お待ちしております。
次回もどうぞ、気長にお付き合いください!!