Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編4話更新】 |
- 日時: 2012/07/13 23:19
- 名前: ロッキー・ラックーン
- こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
かつて無いペースでの更新になります。 次回でヒナ編をラストにする予定です。
今回はナギとのハヤテ告白劇の裏側のお話です。 それではどーぞ!
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『ハヤテ君が好きです。だから私と…付き合ってくれませんか?』
うーん、普通ね…。 せっかく告白するんだから、なんかもっとこう、気の利いた言葉がいいかな?
『桂ヒナギクは綾崎ハヤテを愛してます。世界中の誰よりも!』
…ちょっと恥ずかしいわね。 でも、言えたらステキかも。
『等価交換よ!私の人生半分あげるから、貴方の人生半分よこしなさい!』
変…よね。錬金術師じゃあるまいし。 それに全部あげても良いの…よ?
『ハヤテーーー!お前が好きだーーー!お前が欲しいーーーーーーー!!』
うん、コレは違うわね。 私としては、ちょっと言われてみたいけど。
…あ、こんばんは。桂ヒナギクです。 何をしてるのかって? 明日はハヤテ君にデートに誘われてて、そこで…告白しようと思ってるの。自分から。 そのイメージトレーニングよ。 なんの考えも無しに言うだなんて出来ないじゃない。 何かイケてる告白のセリフって無いものかしら?
トントン
考えにふけっている脳みそを叩き起こすかのようなノック。 私はブンブンと頭を振ってドアへと急いだ。
「はーい…あら、マリアさん」
「こんばんは、ヒナギクさん。ちょっとよろしいでしょうか?」
突然の訪問者は、意外な人だった。 告白のセリフを決めるのは寝る前になりそうだ。
しあわせの花 -Heart of Daisy- 第5話【 Spring will come!! そのB『あしたのわたし』 】
「すまんな、いきなり呼び出して…」
「ううん、いいわよ。ヒマだったし…」
マリアさんの用件は、ナギからの呼び出しだった。 おそらく明日のデートの事だと思う。 私としても告白する決心がついた事をナギに知らせたかったので、この呼び出しはちょうど良いタイミングだった。
「…いよいよ明日だな、デート」
「うん…」
話しながら私に座るよう目配せするナギ。 マリアさんが絡んでいながら、特にお茶とかでもてなされる事も無いので、簡単な話になりそうな事が予想出来た。
「ハヤテのヤツ、デートが決まってからは事あるごとに私にその話をしてくる。うっとうしいったらありゃしないぞ!?」
「そ、そうなんだ…」
「まあ、あんなに楽しそうなハヤテを見られるのもお前のおかげだ。感謝してる」
「ううん。私も、貴女たちには感謝してるわよ」
互いに笑顔がこぼれる。 なんか、ナギの雰囲気が少し大人っぽくなったような気がする。
「それで、お話っていうのは何かしら?」
「ああ、ひとつ頼みがあるんだ」
「頼み?」
「うむ。コレは私が勝手にハヤテのためと思っての頼み事…言ってしまえば自己満足だ。別にハヤテがそれを望んでるわけでも無いし、私としてもそのようにしてもらわなくても問題は無いが、聞くだけ聞いて欲しい」
「そう。何かしら?」
やたらともったいぶった前振り。 まるで、そんな事を言われると是が非でも叶えてあげたくなってしまう私の性格を知ってるかのよう。
「ハヤテからの告白を待ってやって欲しい」
「へ?」
「だから、ハヤテに告白するのを我慢して欲しいと言ってるのだ」
「え〜!?」
あまりにも意外なお願いに、思わず声が出る。 なんで?どうして?
「聞くだけ聞いてくれれば良い。後は任せるので」
「ちょっ、待って。理由くらい聞かせてくれても…」
「聞きたいか?別に面白い理由でもないし、ヒナギクとしては告白する気マンマンなんだろ?」
「ゔっ、何故それを…?んもう、聞くわよ!聞かせなさいよ、理由を!」
なんか弄ばれてるような気がする。 まるでアリスと話してる時みたい…。 後ろを向いて咳払いするナギはどんな顔をしているのだろう?
「ハヤテという男はな、本当に物を欲しがらないヤツなんだ。何をするにも他人優先だ。まあ、そんな事は知ってるよな?」
「うん。私もそう思う」
「で、重要なのはここからだ。つい先日、アイツが初めて『どうしても欲しいもの』を打ち明けてきたんだ。この話の流れで大体分かるだろ?」
「それって、もしかして…」
「うむ、お前の事だ。自惚れてもいいぞ。本当に、何に変えても欲しいって力説されたんだ」
にわかには信じられない話。だって、あのハヤテ君がですよ!? まあ、ナギが言うのだから本当の事なのだろうけど。
「だから私は主人としてハヤテのために、出来る事だけはしておこうかなと思ってな…。コレくらいしか出来ないけど」
「なんかナギ、少し大人っぽくなったわね…」
「ハハハ、成長期だからな。…というワケだ!ホントに、私の言うとおりにしなくても構わないからな」
「…いいわよ」
「!?」
「その頼み事を引き受けるわよ。…明日だけよ?明日ダメだったら、もう私から行くからね!!」
「…ああ、任せるよ。良いデートになるといいな。用件はコレだけだ。わざわざ部屋まで来てもらって、ありがとな」
「いいえ〜。話せて良かったわ。…おやすみなさい!」
「ああ、おやすみ〜」
ナギの部屋を出た私は、頭を冷やすべく縁側へと向かった。
…今のナギにはちょっと敵わない。 多分、ハヤテ君を想う気持ちが彼女を成長させたんだと思う。 その成長した姿に応えるのも悪くないとも思った。 それに、ハヤテ君から告白してくれるんなら…嬉しい。 明日の今頃の私は、ハヤテ君にとってどんな存在になってるのかな?
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「アーちゃん、いいぞ〜!」
「よいしょっと…。お疲れ様でした!」
「いやはや流石だぞ!あのヒナギクが、アーちゃんの言うとおりにしたらまるで子供だな」
「うふふっ…ナーちゃんの話術があってこそですわよ」
おっす、オラ三千院ナギだってばよ! カンの良い読者諸君はお気づきかと思うが、今回のやり取りはすべて私とアーちゃんのシナリオどおりだったというワケだ。 アーちゃんは私の部屋の押入れで、私とヒナギクの会話を聞いていたのだ!
ヒナギクには悪いが、私たちはハヤテに自分の手で欲しいものを掴む喜びを味わって欲しいと思ってる。 そのための最後のお膳立てと言うことで、ちょっと無茶をしてみた。
「んじゃ、明日二人が帰ってきてからの予定を考えるとするか…」
「ハイ。西沢さんも駆けつけてくれるそうなので、盛り上がりますわよ〜!」
これで私たちの出番は終わりだ。とりあえずは。 あとはすべて二人次第…。 ハッピーエンドに向かって突き進めコノヤロー!!
【そのBおわり】
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【あとがき】
考え方を変えたヒナが何故自分から告白しなかったのか、というお話でした。 ハヤテ以外全員がハヤテの告白を待ってる…なんとも奇妙な状況ですが、コメディだからこそ、このノリが出来たのかと思います。
■告白いろいろ
冒頭のヒナが考えてた告白のセリフ。全部元ネタがあります。すべて分かる人は流石です。 ネタばらししますと…
1つ目→歩(原作4巻) 2つ目→『タッチ』上杉達也 3つ目→『鋼の錬金術師』エドワード・エルリック 4つ目→『Gガンダム』ドモン・カッシュ 伏せ字ナシ。笑
さてさて次回は、ヒナ編最終回(予定)です。 意外な人との絡みで終わらせようと思ってます。 …とはいえ、まだ大まかな流れすらもまとまってない状況ですので、気を長ーくしてお待ち頂けると嬉しいです。 ココまでお付き合いしてくださる方々…本当に感謝感激です!
ではご感想・ご質問などお待ちしております。 ありがとうございました。
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