大切なヒト マリアさん誕生日記念・完結 |
- 日時: 2013/08/21 16:48
- 名前: サタン
- ※注意事項(10/3本文スレから転記)
今回のこのSSは時系列順で高尾山に行く前までの設定が続いていて、そしてそのまま12月24日まで行ったことが前提になっています。 従って、あのハヤテを救ったもう一人の少女が出ません。 理由としては登場キャラクターを増やすと、私の文章力ではきれいに完結が難しいためです。
※10/24追記 諸事情によりタイトルを少しだけ修正しました。 悪しからず。
それでは本編をどうぞ。
恋をしました。 一目惚れというものではありません。 むしろ、私がこの人にそんな気持ちを抱くことになるなんて…出会ったときには想像しませんでした。 想像もできませんでしたけど…あの日、あの夜の…彼と出会った、そのときから… 私の胸にはこの想いが植えられていたのかもしれません。
彼と出会ってからの生活は、少し慌ただしいものとなりましたが、 同時に賑やかで、ときには悩ましくもあり…ですが、とても新鮮なものでした。 彼自身もまた、生まれつきなのでしょう…異様な不幸に付きまとわれる定めの下にあるようですが、 懸命に、ときに挫けそうになっても、彼はひたすら前向きに…生きていました。
そんな姿にときには呆れ、ですが同時に感心しつつ、このお屋敷で共に過ごした日々。 少しずつ彼のことを知って、自分のことを話して…共有した多くの時間、何気ない出来事… そんな日々が、水となり滋養となっていったのでしょうか。 胸にまかれた小さな種は気づかぬうちに殻を破り、根を張って… ある朝、ふと気がついたときには、小さな芽が顔を出していたのです。 彼への恋心という。 想いの芽が。
こんな気持ちになったのは、初めてのこと…初恋、というのでしょうか。 ドキドキしたり、切なくなったり、嬉しかったり、恥ずかしかったり… 話しているだけで、顔を見ているだけで…いえ、その人のことを想うだけで私の心は慌てふためいて、 でも…とても、満たされる…
誰かさんは恋をしない青春は灰色だ、なんて言って私のことを酷く傷つけてくれましたが、 どうです? 私だって、ちゃーんと恋をしているんですよ?
…恋をして初めて知りました。 お屋敷での代わり映えないと思っていた日常。 それですら…こんなにも楽しくて、眩しくて、温かくて…そして、切ない日々になり得ることを。
それは。 かけがえのない…本当に素敵な、宝物のような気持ち。 誰にも触れられたくない、誰にも見られたくない…私だけの。 宝物。 だから、この想いは大切に。 宝箱の中に。 誰の目にも触れない、誰にも知られない…私だけの。 胸の奥に。 最後まで、永遠に…私だけの。 胸の奥に。
何故なら、この想いはあの人をきっと傷つけてしまうから。
何故なら、この気持ちは、あの子を…裏切るものだから…
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