タイトル | : 真夏煉獄下ハヤテのごとく!:序 |
記事No | : 96 |
投稿日 | : 2008/07/27(Sun) 22:11 |
投稿者 | : 絶対自由 |
灼熱天下の海……それは、幾人もの男達をうならせてきた。勿論、一部だけ。 海、それは魅惑のビーチ。 夏と言えば海。何故ってそれが王道だから。 だから海に来ている。其処に理由なんてあるかコノヤロー。
「だから勝負だ!! 綾崎!!」 ぴちぴちの海水パンツを穿いた変態執事(ハヤテ比)、瀬川虎鉄は人差し指をハヤテに突きつけながら唐突にそう叫んだ。 「はぁ? 行き成り何を言っているんですか貴方は」 ぴちぴちでは無いが、同じく海水パンツを穿いたハヤテは、突然の虎鉄のバトルの申し込みにそう答える。 「こんな急展開をして読者の方々が付いて来れると考えているんですか? 起承転結を考えてください」 ついでにそう付け加える。 「そんな事は知ったことか。私が勝負したかっただけだ。幸い、此処には多数の執事が居る」 ぐるりと見渡すと、まぁ、確かに、意味も無くお馴染みの執事集団が居る。何故此処にいるのか? とか、一斉に何故集まっている? とかそんな事を完全に無視した展開である。 「それに只勝負しただけでは物足りないだろう?」 虎鉄の提案。 「それは確かに。……どうだろうか? この戦いに生き残れたら、一〇〇万円と云うのは」 バラを片手に、海に来ても暑苦しい執事服を着る美青年、冴木氷室はそう述べる。その後ろで、その氷室の主である大河内タイガが花びらを、わっせ、わっせ、と投げている。 「なら私も。いい機会です、坊ちゃんも竹刀を構えてください。それに、勝った後の賞金で、さらに坊ちゃんを鍛えるための資金にしますか」 その横から出てくる野々原楓はそう言う。じろりと視線はその後ろに控えている自らの主である東宮康太郎に向けられている。東宮康太郎は逃げようとするが直ぐに捕まる。 その他もろもろと自らの意見を述べていく執事共々。その賞金やらフェラーリやらの高級品の購入金は、一体何処の誰が払うのかは謎である。 「ならば私は、勝ったら綾崎を貰う!」 虎鉄は最後にそう述べた。 「断固断ります! というより、まだ僕が出るなんて言っていませんよ! 僕はこれからお嬢様に泳ぎを教えなくてはならないんです!」 そんな言葉を飛ばし、ハヤテは背を向けようとする。 「逃げるのかい?」 その背中に氷室は言葉を投げ掛ける。 「僕たち、一流の執事に負けるのが怖いのかい?」 ……意外とこういう言葉にカチンと来るのか、負けられないと云う意地があるのかは不明だが、ハヤテはゆっくりと、正面を向く。 「……お嬢様、泳ぎの練習は今しばらくお待ちください」 そして、後ろでさらさら泳ぐ気など無いハヤテの主、三千院ナギにそう言う。 「いいぞ。てか、そのまま戦っててもいいぞ」 ナギはパラソルの下のテーブルに、S●NY製のPC、V●IOを設置する。完全に泳ぐ気など無い。 その言葉を聞いたハヤテは、早く終らせてお嬢様に泳ぎを教えなくては! と思い、その無闇に殺気を放ちまくりの執事たちに突っ込んでいく。 「行きますよ―――――ッ!! 受けてみてください! 僕の必殺技をぉぉぉ!!」 「落ちろカトンボぉぉ!」 「ユニバァァァァァァァス!!!」 「武器の貯蔵は十分かぁぁぁぁ!!」 「これがモノを殺すと云うことだぁぁぁぁぁ!」 「魔が人に付くは天の試練! 消えろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
激闘開始! ばき、やら、ぼき、やら、轟! やらの擬音を駆使した戦闘が繰り広げられる。灼熱天下のなか、良くやるやつらである。
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「男の子は元気ねー」 腰に手を当てて、胸の比率に合わないビキニの水着を着用し、その上から上着を羽織っている少女、桂ヒナギクはそう言った。 「……何か今殺意が湧いてきたのだけれども、何故かしらね」 「気のせいだろ?」 ナギが返す。 「何かね、体格のことを言われたような気がしたのよ」 ヒナギクはぐるりと辺りを見渡す。体格に関する話題に敏感な生徒会会長である。 「やっぱり何か聞こえるわ」 「だから気のせいだって」 「気のせいなもんですか! 絶対に誰かが私の体格について語っているわ!」 「誰が語るんだ」 ……いい具合にキャラが崩れてきた無敵の生徒会長桂ヒナギク。 彼女の体格の成長が遅いのは恐らく、スポーツウーマンである彼女は、日々、トレーニングに勤しんでいるのである。その為に、身体の筋肉が引き締まり、胸に行く脂肪が燃焼されて、胸には肉が付かないのである。たぶんね。 「……」 さて、つっこんだは良いものの、ナギも人のことは言えず。ふと、かくん、と視線を下に落とす。其処に広がっている平面、もとい洗濯板。それは彼女を落胆させるものである。あえて、流麗な曲線などと云う控えめな表現は使わない。 「なっ! そんなもの! ならヒナギクにも同じ表現を使えばいいではないか! 見ろ! ヒナギクの説明欄には体格の喩えが全く無かったぞ!」 叫ぶナギ。……さて、彼女は一体誰に叫んでいるのでしょうか? 「何を叫んでいるんですか? ナギ」 荒れるナギに、後ろから優しい、まるで天使のような声が響く。 ナギの世話を昔からしている有能美女メイド、マリアである。 「……なんやマリアさんだけえらいひいきしとるな」 「お、咲夜」 現れたのは、回をおうごとに胸の大きさが大きくなっていく、簡単に言えばプロポーション抜群の少女、愛沢咲夜である。 「天使のような声ってどうよ?」 「さぁ」 笑顔で返すマリア。 さて、ナギの視線は相変わらず咲夜の立派なアレに向けられているわけであるが…… 「……オマエ、一体何を食ってるんだ?」 「ほんの些細なパンとミルクや」 「嘘つくなブルジョワ」 「そんならナギも一緒やないか。寧ろウチよか金持ちやないか」 む、と返すナギ。 確かに、同じものを食べている筈である。いや、同じはありえないが、兎に角、三千院家は少なくとも愛沢家よりは金持ちである、ブルジョワである。 不機嫌になっていくナギに、マリアは見かねて、 「ナギ、人は胸で決まるものではないのですよ? ハヤテ君なら(多分)気にしないと思います」 そう言葉を掛ける。 「……マリアはいいよな。そんなに大きくないのに大きく見られて」 ぴきり。 ……地雷を踏んだ感覚。 「……はい?」 マリアは精一杯の笑顔で返す。怒りマークが多分、見える。 そんな事は知らず、ナギは言葉を繋げる。 「だってそうじゃないか。メイド服着ているときは結構大きく描かれているけど、実際入浴シーンとか見るとそんなにデカクないし、一六巻の入浴シーンでは一巻よりでかくなってたけどさ。大体、ファンの間ではお姉さんキャラだから胸は大きい、って定着されてて、同人誌では胸は超でかく描かれているしさ。挙句の果てにはヒナギクまで大きく描かれているのだってあるのだぞ?」 ふるふると、震えるマリア。怒りか、それとも嘆きか…… 兎にも角にも、咲夜は何故か身の危険を感じて、少し、後ろに下がることにした。 「……私、大きく描かれているのあるんだ……」 ヒナギクは密かにガッツポーズ。ま、それでも、本編では俎板には変わりは無いのだが…… 「大体、大きいの基準が私には解らない」 ナギはそう言う。 「DカップとかEカップとか云うけど、それってどれくらいの大きさのことを言うのかしらね」 ふとした疑問をヒナギクが呟く。 さて、ここらで新キャラを登場させよう。 「去年(時間軸上二〇〇四年)のデータによると、トップとアンダーの差が、一〇センチなのがA、二.五上がって、一二.五センチがB、それ以降はまた二.五ずつ上がるたびにC、Dと上がっていくそうです」 後ろでこの場には似合わず、水着ではなく、薄での私服を着ている少女、春風千桜が眼鏡の変わりに度が入ったサングラスを付けてそう述べる。尚、何時も居る筈の霞愛歌は体調の不良を訴え、ホテルでお休み中である。 「あ、ハル」 ヒナギクは千桜のほうを向く。それなりの大きさである。人並みである、水着でないのが無残にもその夢を壊している。 「……」 無言で他所を向く。 「兎に角、そんな基準なのね」 「ええ」 サングラスが気になるが、ヒナギクはあえて突っ込まないことにした。 「かっこいい」 ナギだけは目を輝かせていた。 と、其処に更なる登場人物。 「ヒナちゃ〜ん」 御馴染み、生徒会三人娘、瀬川泉、花菱美希、朝風理沙が水着の格好で現れた。恐らく、いや、確実に海で遊ぶつもりなのであろう。日焼け止めを塗り、浮き輪にゴーグル、そしてビーチボールを持っている三人は今直ぐにでも海に走っていくであろう。 「ねぇ、ヒナちゃんも一緒に泳ごうよー。ちーちゃんも泳ごー」 笑顔を振り撒く泉。その下には御馴染み、咲夜と同じ様に回をおうごとに大きくなる果実がぶら下がっていた。 「これは最早セクハラのレベルだな」 ナギが溜息を吐く。 「ほぇ? 何が?」 気付かないのか、気付かぬふりをしているのかは解らないが、取り敢えず、彼女の笑顔をご想像して、目の保養としていただきたい。 「ええい! 一体何を食べればこんなに大きくなるのだ!」 指をびしり、と立てて、泉の胸を指す。咲夜は先ほどから身の危険を察知して居なくなっている。流石である。 「牛乳も毎日飲んでいるのに……」 ヒナギクはそう呟く。今日は呟くことが多いヒナギクさんである。 「もめば――」 「駄目に決まっているだろがぁぁぁあああああ!!」 理沙の提案にナギが直ぐに異を唱える。血行が良くなって大きくなると言うが、嘘である、多分。 「と、言うより、なんでこんな話題になっているんだ?」 美希がとても尤もな疑問を放つ。 ちらりと向こう側を見ると、数行の間忘れ去られている男子組み(執事組み)が戦闘を行っている。そして此方を向けば体格(胸)について語っている。……幾ら海とはいえ、こんなことをしていていいのであろうか? 否、駄目であろう。 「作麼生! 何故こんな話題になったのか!」 「説破! 何でもありだから」 ……兎も角、少女達の苦悩は続く。
「私の胸って……大きいのですか?」
密かにマリアは自らの胸を触って呟いた。
/続
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